2011年08月26日(金)00時24分

【コラム】完全復活を遂げた2Dプラットフォーマーの今

一時は完全に衰退したと考えられていた2Dプラットフォーマーというジャンルが、Xbox LiveやPSNといったダウンロード配信市場において完全復活。2Dプラットフォーマーの現状を総括するIGNのコラムを。

それほど遠くない昔、横スクロール・プラットフォーマーがゲーム機を席巻していた時代があった。Battlefield対Call of Dutyではなく、Mario対Sonicという時代である。セガ・マークIIIやスーファミの殆どのゲームが、障害物を飛び越えながら右に向かって走り続けていたという、牧歌的な時代だったのだ。

だが3D時代が幕を開けると、PS1やN64といったコンソールで可能となった新鮮な3D世界を最大限活かすため、多くのパブリッシャーが横スクロールのフォーミュラを捨てた。その時点で、横スクロールのプラットフォーマーは数世代に渡って隅に追いやられる事となる。

それはそれで嫌な思い出ではあるが、当時のゲーム・シーンが2D横スクロールで溢れかえっていたという事実は忘れてしまいがち。2Dが隅に追いやられていた数世代の間にも、Viewtiful JoeやOddworldといった風変わりなタイトルや、携帯機専用ゲームには幾つか2Dタイトルは存在したが、色々な意味で丁度良い休息期間になったかもしれない。

だが、ここに来て事情は変わった。ここ数年、このジャンルは驚くべき復活を遂げており、PSN、Xbox Live、Steam、Wii Storeといったダウンロード市場で再び輝きを放っている。そして最高なのは、殆どのタイトルが20ドル以下という点だ。

こうした新しい配給システムと価格モデルは、小規模のチームが自らのタイトルを世に送り出す格好の市場を生み出し、3Dが手軽に実現可能な時代であるにも関わらず、よりシンプルでエレガントなゲームプレーは言うに及ばず、小規模チームに適した2Dデザイン固有の効率の良さは今でも存在しているのだ。

その結果、2Dメカニックの傑作が数多く登場する事となった。そうした変化に伴い、フル・プライス・ゲームの定義に関するユーザーの考えも変化した。数百人体制で開発されるMass Effect 2やRed Dead Redemptionといった大作がフル・プライスの価値があると見なされる一方、殆どの人間がプラットフォーマーを同じレベルでは見なくなっているのだ。

newsupermariobros.jpgNew Super Mario Bros

The LittleBigPlanetは数少ない例外だが、そうしたゲームは単なるプラットフォームに留まる作品ではない。そうした傾向の逆を行っているのが任天堂だ。古典的なプラットフォーマーにフル・プライスを要求するパブリッシャーが他にいるだろうか?ここ数年の間に、任天堂はNew Super Mario Bros、Donkey Kong Returns、毛糸のカービィといった作品をリリースしてきた。これらは明らかに任天堂の主力製品だが、業界の動きとは相容れないものだ。

勘違いしないでもらいたいのだが、私はMario、Donkey Kong、Kirbyが大好きだ。とはいえ、ファミコンやスーファミの時代から特に進化していないゲームプレーを、PSNやSteam、XBLAでリリースされるオリジナル新作の5倍の値段で売っているという点は否定出来ないだろう。HDグラフィックやオンラインプレー、リーダーボード、5.1サラウンドといった追加要素や、ダウンロード・コンテンツによる拡張の可能性もないのだ。では、なぜ任天堂はプラットフォーマーのプラットフォームと言えるのだろうか?任天堂はレトロ・ブームを利用しているだけなのだろうか?スーファミ時代に失った顧客を、モーション時代に取り戻そうとしているのだろうか?一つ確かなのは、任天堂はN64やゲームキューブにおいて、このジャンルをここまでサポートしていなかったという事だけだ。

だが、Wiiで批判されるべきなのは任天堂だけではない。多くのサード・パーティーもまた、Wii向けに無数のプラットフォーマーを送り出して来た。残念ながら、朧村正やふしぎなブロビーといった傑作がある一方で、Astro Boy: The Video GameやDespicable Meといった酷い版権ゲームの数はその3倍以上。その多くはiOS Appストアですら拒絶される出来だ。

castlecrashers.jpgCastle Crashers

PC、PS3、360に再び話を戻し、2Dを復活させた素晴らしいゲームやデベロッパーに目を向けてみよう。

小売店からダウンロード市場へのプラットフォーマー・ジャンルの移住を引っ張っているのが、Behemothというデベロッパーだ。2D横スクロールの傑作を生み出す事に特化した彼らは、ここ数年で最高と言える2Dプラットフォーマーを送り出してきた。Metal Slug風の傑作Alien Hominidは、ドンパチ物というサブジャンルにおいて最高レベルの完成度を誇り、様々なバージョンが存在するほど。元々は人気フラッシュ・ゲームだったAlien Hominidは、前世代にはパッケージ版も発売されている。本作が後にAlien Hominid HDとしてXbox Liveで再発されたという事実は、これまでのゲーム機には存在しなかった便利な新配給システムと価格帯を最大限に活用した好例と言えるだろう。

その後Behemothは、4人協力プレーに対応したアクションCastle Crashersを大ヒットさせ、現在はBattleBlock Theatreと題する新たなプラットフォーマーを開発中だ。Behemothが昔気質のゲームを手頃な価格で発売するのに、ダウンロード配信はこれ以上ない市場なのだ。

事実、振り返ってみると多くの2Dプラットフォーマーの質の高さに驚かされるし、チームと開発費が小規模で済むという事は、それだけ興味深いユニークなゲームプレー・アイディアを形に出来るという事でもある。ゲームプレーと物語に重点を置いた独特でユニークな世界観を作り出したBraidやLimboといった傑作は、最小で3人のチームによって生み出されているのだ。そうしたディテールへのこだわりは、メカニックは非常にシンプルにも関わらず、結果としてゲーマーの強い共感を呼ぶ。

supermeatboy.jpgSuper Meat Boy

大きな盛り上がりをみせるインディ・シーンからも、素晴らしいプラットフォーマーが次々と生まれている。デベロッパーAlientrapの2人が開発し、Steamで配信されたゲームCapsizedは、ムード満点の知的な作品だ。The Dishwasher: Dead Samuraiは、James Silva氏がたった1人でMicrosoftが一般配布している開発ツールXNAを使用して完成させたゲーム。The Dishwasherの大ヒットは、同じく寝室や地下室で開発されたEric ChahiのAnother Worldや、Jordan MechnerのPrince of Persiaといった作品の復活の土台を固める事となった。

現代的な感覚と昔気質なゲームプレーを併せ持つ、過去のプラットフォーマーにオマージュを捧げたゲームもある。テンポの速いゲームプレーが売りのN+は、数百のステージを収録したレトロなプラットフォーマー。ヒット作Super Meat Boyも同様のアプローチを取っていて、見た目こそグロテスクだが、同じイニシャルを持つ著名なプラットフォーマーの影響を感じさせる作品だ。研ぎ澄まされたタイミングとスキルが要求されるスピーディーな短いステージに焦点を当てたゲームプレーは、同時にMarioをプレーした事がある人間なら誰でも馴染みのあるものとなっている。

オーストラリアのデベロッパーHalfbrickは、今年初めにRaskullsをリリース。とにかく個性的で、ビジュアル・スタイルもゴージャス、シャープなHDグラフィックと素晴らしい出来の4人同時協力プレーをフィーチャーし、ゲーマーと批評家の間でヒット作となった。もっとバイオレントなアクションが好みなら、忍者外伝や忍といった名作に影響を受けたShankがオススメだ。テンポの速いゲームプレー、滑らかなアニメーション、優れた脚本によるノワールなストーリーラインをフィーチャーしている。

2183.jpgSplosion Man

リストはまだまだ続く。Twisted PixelのSplosion Manは、主人公が爆発しかしないという素晴らしいコンセプトでシーンに登場した。科学者を粉々にしたい?突っ込んで爆発するだけで良い。向こう岸に到達したい?爆発して飛びつけば良い。非常にシンプルだが、素晴らしい。笑いを誘う奇妙なキャラクターとスタイルをフィーチャーしたSplosion Manは、ジャンルに新たな風を吹き込む存在となったのだ。とはいえ、決してパーフェクトではなかった。背景は1種類だけなので、極めて単調さを感じざるを得ない。

続編となるMs. Splosion Manで、Twisted Pixelはこの問題点を修正すると同時に、他の要素も大幅に改善して見せた。1作目のSplosion Manはちゃんとしたゲームというよりもコンセプトだけという感が否めなかったが、続編は過去20年における最高のプラットフォーマーに匹敵する出来となっている。より優れた世界観やバラエティ豊富なステージ、カットシーン、ポップ・カルチャーの引用など、大作感を漂わせる仕上がりとなっている。Twisted Pixelは、この2作の間にも、高く評価されたComic Jumperを配信している。

時折、パッケージ発売に相応しいとされる高いクオリティを誇る2Dプラットフォーマーも登場する。EpicのShadow Complexは、悪魔城ドラキュラとMetroidを思い起こさせるプラットフォーマーで、素晴らしいグラフィック、Nolan North氏による確かな演技、極めて洗練されたゲームプレーが盛り込まれている。Shadow Complexの質の高さは驚異的で、Xbox Liveアーケードのゲームだとは信じられないほどだ。Housemarque開発によるOutlandも、美しいアートと高いクオリティを誇るダウンロード配信ゲームで、パッケージにしても良いくらいだと言われている。これらのゲームは、ダウンロード市場とフル・プライスのパッケージ版との価格差を浮き彫りにする。オンラインで安く手に入るというのに、何故フル・プライスを支払うのだろうか?

今後しばらくは、プラットフォーマーが再び姿を消す事はないというのは実に嬉しい。唯一の疑問は、パブリッシャーはいつまでこうしたゲームにフル・プライスを付け続けるのだろうか?という点だ。このジャンルはダウンロード市場独占であるべきなのだろうか?

[ソース: IGN]

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