2012年01月24日(火)02時37分

BioShock Infinite インタビュー 〜 1999モード

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先日、ハードコア・ゲーマー向けの1999モードが発表されたBioShock Infinite。その開発元であるIrrationalの共同設立者であり、BioShock Infiniteのクリエイティブ・ディレクターでもあるKen Levine氏がIGNのインタビューに応じ、1999モードについて語っています。

▼ 1999というのはSystem Shock 2が発売された年ですよね?

Ken Levine: そうだね。我々の処女作であるSystem Shock 2が発売された年だし、ルーツを失っていないということを明確にしたかった。System Shock 2で面白かったのは難易度の高さだろう?でも、当時はゲーム全般の難易度が高かった。それもただ難しいだけじゃなく、今とは違うことを要求されるんだ。リソース管理なんて、今ではすっかり廃れてしまったからね。

BioShock Infiniteの成長要素には全般的に永続的選択という側面があるが、1999モードでは一つの進路を選んだら、もう一つは閉ざされるんだ。例えばピストルに特化したければ、マシンガンは使えなくなる。マシンガンを見つけても、命中率は低くなるわけだ。使いこなせない武器で何とか乗り切らなきゃいけなくなるんだよ。貧弱なところから強くなっていくという、自給自足的なゲームは少なくなっている。私がゲームで好きな要素なんだけどね。

▼ 予めどこを強化するか決めておくという、クラス・システムのような感じですか?

Ken Levine: ああ、進路を決めなければならないからね。昔からのファンの多くがBioShock 1で失望したのは、どんなキャラクターにするか決める必要がなかったという点だと思う。BioShock Infiniteの通常のモードでは成長の進路を決めるよう要求されるが、どちらか一方に進路が限定されるような事はない。Bio 1ではビルドについて考える事はなかっただろう?1999は、プレーヤーにビルドを構築するよう要求するモードにしたいんだ。

▼ BioShockが出た当時、Vita-Chamberのリスポーンが懸念されていたのを覚えています。 このモードは、Vita-Chamberへの不満を露にしていた人たちの不満を解消する試みと見ていいんですか?

Ken Levine: ああ、もちろんだ。Bio 1では、何度も死にながらBig Daddyのヘルスをちょっとずつ削っていく戦略とかがあったからね。今回は我々にとって初めての試みを試したかった。リスポーンにコストが掛かるようにして、死ぬたびに少しずつ形勢が不利になっていくようにしたんだ。自力でこの悪循環から脱出できなければ、即ゲームオーバーだよ。

▼ では、1999モードでプレーしていて、倒せそうにない敵に遭遇した場合は、もう手も足も出ない状態なんですか?

Ken Levine: そうだね。他の場所に行ってアイテムをもっと集めるか、より弱い敵と戦うことになるだろう。バランス調整はしっかりしたいんだ。1999モードは、敵の固さだけじゃなく選択という面でも難易度が高いモード。ゲーマーの手に多くの責任を委ねるモードだから、いい加減な選択をしてしまうと痛い目に遭うことになるよ。

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▼ Shockシリーズにおけるジャンルの進化に関して詳しくお聞きしたいのでSystem Shock 2に話を戻しますが、System Shock 2のジャンルは何だと考えていますか?ロールプレイングなのか、それともアドベンチャーなのか。どう定義しますか?

Ken Levine: 1人称シューターとRPGのハイブリッドだが、バランスという観点から見た場合は、サバイバル・ゲーム以外の何物でもない。殆どプレーヤーにアイテムを与えないから、とことん節約しなければならないんだ。判断を誤ると、即積んでしまうバランスだ。武器の劣化要素に関しては少々行き過ぎで、激しい議論が生まれた。99年当時にしても難しすぎたんだ。System Shock 2はハイブリッドだけど、バランス的には昔気質のサバイバル・ホラーだよ。

▼ そしてBioShock 1ですが、確実にフォーミュラがシフトしましたよね。当時のIGNにおいても、どのジャンルに分類すべきか議論が起きたのを覚えています。最初に企画がスタートした時、スタジオ内でどんな議論が交わされたのか教えてもらえますか?開発のいつ頃にジャンルが決定されたんでしょうか?

Ken Levine: 私にとってジャンル分けというのは、カジュアル・ゲーマーにどんなゲームなのか伝えるための道具なんだ。例えば、映画におけるロマンティック・コメディやドラマ、ホラーといったジャンル分けは、サイトを読んだりしない人がどんな映画なのかを知るためのものだ。熱心な映画ファンにそういう説明は必要なくて、トビー・フーパーやスティーブン・フリアーズの映画と聞けばどんな映画か分かるし、いわゆるジャンルの隙間に興味を抱く。ジャンル分けというのはあくまで、IGNやKotakuを毎日読んだりせず、Ken LevineやIrrational Gamesといった名前を知らない人のためのものだよ。なんとなくゲームを見て、「面白そうだ。どんなゲームなんだ?ああ、FPSか」という感じの人たちだ。我々は自分たちが作りたいゲームを作るだけだから、デザイン・ツールとしてジャンルを利用したりはしない。ゲームが導く方に従うだけだから、誰もジャンル分けなんて気にもしないんだ。

▼ BioShock 1からInfiniteに移行するにあたり、メカニックの進化の方向性に関しては、どういった話し合いが行われたんですか?

Ken Levine: 物語に重きを置き、様々な問題解決法をプレーヤーに提示する1人称シューター、という明確な方向性が定まっていたから、幸運だったと言えるね。Irrationalは誰よりも自分たちの仕事に批判的な会社だ。成功した部分、そして何よりも失敗した部分を、時間をかけて反省会をする。BioShock 1が完成して一息付いている時、あのゲームには永続的な選択が欠けていたと感じたんだ。BioShock Infiniteでは、通常のモードでもBioShock 1にはなかったような永続的選択を迫られる。1999モードを別のモードにしたのは、カジュアル・ゲーマーが少女のように泣き出してしまうようなモードにしたかったからなんだ。懐かしの隠しコマンドにするかもしれない。なんとなく選んでしまって痛い目にあって欲しくはないからね。

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▼ System Shock 2は非常に難易度の高いゲームでしたが、同時にとても怖いゲームでした。舞台設定はもちろん、一瞬でゲームオーバーになってしまうという難易度の高さもその理由だったと思いますが、Infiniteのホラー要素はどうなっていますか?常に危険に晒されているという感覚がなぜそこまで重要なんでしょうか?

Ken Levine: 恐怖感を生み出す方法は2種類ある。実際にはもっと沢山あると思うが、今思い付くのはこの2種類だ。まず、物語上のムードがある。これは、BioShockやSystem Shock 2に顕著だ。次に、アイテム不足から生まれる緊張感。銃弾一発に重みを持たせるんだ。System Shock 2でプレーヤーが恐怖感を感じた理由の一つは、何か一つミスを犯したら、それで全てが終わってしまうと分かっているからなんだ。Biohazardの1作目を今プレーすると、まるで狂気の沙汰だよ。常にアイテム不足に陥るんだ。昔のX-COMもそうだね。

当時、銃弾が1発しかない時にSectoidやMutonと戦闘になって、「絶対に無駄にするなよ」って感じたのを覚えているよ。エイリアンのターンになった時、足音が聞こえてくる緊張感。グラフィックのしょぼいターン制のゲームですら、そこまでの緊張感を感じさせることが出来るんだ。リソースも枯渇し、失敗が許されないという状況が、緊張感を増す役目を果たしていた。1999モードがその頃の緊張感を彷彿とさせるのは、物語上でのホラー演出が向上したというだけでなく、「ミスは許されないぞ」っていう自然と湧き出る感覚を上手く利用しているからなんだ。

▼ Infiniteのシューティング要素は、Counter-Strikeのようにヘッドショットが重要な、正確性が重視されるものになるんですか?それとも、連射による命中率の低下などは心配せずに済むような感じなんですか?

Ken Levine: 通常モードかい?それとも1999モード?

▼ 違いがあるなら説明してもらえるとありがたいです。

Ken Levine: コードの観点から見て技術的に大きく異なっているわけではないが、次にいつ銃弾が手に入るか分からないというバランスは大きく異なっている。System Shock 2では銃弾があまり手に入らないから、やたら弾をばら撒くような真似は出来なかった。命中する部位によってダメージが違う、といった技術面での違いは存在しないんだ。手持ちのアイテムが不足していたり、不適切な武器特化を選択してしまった結果、気合だけで戦闘に挑まなければならないような状況に追い込まれた時、「もう手遅れだけど、何とかして切り抜けなきゃ」って気持ちになるだろう?戦闘自体には特に手を加えなくても、自然と緊張感が生まれるようになるんだ。

▼ 倒すと報酬が手に入るものの、多くの場合はプレーヤーに任されているという面で、Big Daddyとの戦闘は非常にプレーヤーの役に立つものでしたが、そうした任意の戦闘要素とプレーヤーの選択がInfiniteではどのような役割を果たすのか興味深いですね。

Ken Levine: そういう好戦的ではない敵をより幅を持たせたAIにするため、本作では様々な実験を試みている。立ち位置がはっきりしないキャラクターが数多く登場するよ。彼らを観察するのも重要な要素だ。1999モードでは銃弾の一発一発が貴重だから、無意味な戦闘は避けないように慎重にならなければ駄目なんだ。不必要な戦闘に興じ過ぎると、リソースをあっという間に使い果たしてしまう。Big Daddyでの経験を土台に様々な実験を繰り返すことで、ゲーム・ダイナミクスに驚異的な変化が加わっている。殆どのFPSを根底から変えるものだが、Big Daddy自身も大きな変化だったんだ。じっと眺めることが可能だから、一つ一つの行動を考えることがより重要になる。即座にプレーヤーを殺しに掛かってくる殆どのAIと違い、Big Daddyはじっと眺めることが出来るからね。

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▼ Infiniteのインターフェースはどうなっていますか?表示できる情報は沢山あるかと思いますが、どんな情報が重要だと考えていますか?

Ken Levine: インターフェースについて考える時は、ケーブルTVのリモコンを手に取って見るんだ。「上手くやらないと、こうなってしまうんだぞ」ってね。あれより酷いインターフェースはこの世に存在しないよ。全く同じサイズ、同じ色のボタンが100個以上付いていて、文字通りメガネをかけて目的のボタンを探さなければいけない。ああいう酷いインターフェースのゲームになってしまう可能性もあるわけだから、開発中は常に一歩下がって冷静に見渡す必要があるんだ。「これは最高だ、素晴らしい」と思っても、それは自分が6ヶ月もプレーしているからであって、実際にはどれだけ酷い代物かを忘れてしまっているんだ。

インターフェースというのは透明であるべきなんだ。手元で何かをコントロールする時、コントローラーを意識してしまうようでは駄目だ。モーション・コントロールでも、操作法を頭で考えてしまう。インターフェースの事は意識せず、まるで神経が繋がっているように感じさせることが理想だ。ある程度のインターフェースが出来上がるまでは、とにかく最低のインターフェースだと想定しなければいけない。謙虚な気持ちを植えつけられるよ。発売時にはある程度の出来になっている事を願うけど、インターフェースに正解は存在しないんだ。

▼ 戦闘以外の探索要素は増えているんでしょうか?BioShock 1やSystem Shock 2と比較して、パズルやキャラクター同士のやり取りは?

Ken Levine: キャラクター同士のやり取りはかなり増えているよ。まだ話していないことが沢山あるんだ。BioShock 1で多くはやり尽くしてしまったが、やり逃したことも残っていると思う。構想中の事例を今ここで話すわけには行かないが、キャラクター同士のやり取りというのは、明らかにBioShock 1で掘り下げ不足だった重要な要素だ。革新的なこと、今までとは違うことに挑戦するというのは常にリスクが伴うけど、焼き直しをするくらいなら、今までとは違うことをして失敗する方がマシなんだ。

▼ Infiniteにマルチプレーを付ける予定はありませんか?

Ken Levine: この質問には2年間に渡って同じ答えを返してきたけど、今回も今までと同じつまらない答えを返すよ。ファンの望みにマッチしたBioShockらしいマルチプレーというだけでなく、プレーしていて最高に楽しいものが出来たと感じない限り、BioShock Infiniteにマルチプレーを付けることはない。もし付けることがあれば、きちんと発表するよ。

▼ 現時点では実現していないと。

Ken Levine: そうだね。現時点では、実現したと発表したことはないよ。これでどうだい?

▼ オーケーです。

Ken Levine: 文法的に変な答えになったけど。

▼ ファン以外にBioShock Infiniteのジャンルを説明するとしたら、何になりますか?

Ken Levine: 1人称シューターのままで行くと思う。それで大体分かってもらえるだろう。1人称シューターのプレーヤーが期待する要素が詰まったゲームだ。他の1人称シューターにはない要素も沢山含まれているが、1人称シューター体験は確実にそこにあるからね。銃があって、リロードがあって、敵とヘッドショットがある。カジュアル・ゲーマーに説明するにはそれが適当だろう。でもハードコア・ゲーマーには、ただゲーム内容を説明するだけなんだ。彼らはジャンルを気にしないし、その先を掘り下げてくれる。Minecraftが何のジャンルなのか分からないだろう?

▼ 確かに。最後に、BioShock Infiniteは2012年発売で変わりはありませんか?

Ken Levine: その通りだ。

[ソース: IGN]

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