2012年03月30日(金)17時25分

【コラム】ゲーム・テスターの辛い現実

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変化を求める力がない

一日中ゲームをプレーする仕事というのは大袈裟に美化されているため、会社側は希望者には事欠かない状態だ。

QAテスターは使い捨てだよ。

そう語るFrankにReubenが付け加える。

経営陣が気に食わない人間がいれば、ただ契約更新を拒否するだけだよ。それなら何の面倒もない。作業量や労働時間について質問をしたりする人間はトラブルメーカーの烙印を押され、契約延長はされないんだ。

製品が出荷されたら、その時点で失職する。福利厚生もボーナスもないし、フルタイムでの雇用を約束されることもない。同僚には才能溢れる人間が沢山いたのに、その才能が無駄になっているのはとても残念だよ。

「QA契約社員には組合なんてない」とFrankは加える。

テスターは組合を作ることができるのだろうか?理論上は可能であるとしながらも、Reubenは現実的ではないと考えている。

契約の扱われ方を考えると、テスターのレベルで組合を結成するというのはほぼ不可能だろう。仮に挑戦しても、契約が延長されないだけだ。何よりも辛いのは、この業界は本当に狭いから、何らかの理由でレイオフされた場合、その地域の他の会社にもその情報が知れ渡り、雇って貰えなくなることなんだ。

責任を負わされる

QAを通過しても、大小様々なバグが残ってしまうのが現在のビデオゲーム。PS3版のSkyrimがその良い例だろう。その主張どおりQAテスターたちが熱心に仕事をしているなら、なぜあのような酷いバグがすり抜けてしまうのだろうか?

Philによると、報告された多くのバグは修正されないのが現実だという。しかも、QAテスターのアドバイスを開発者が無視することもよくある、とFrankは語る。

我々の意見は一瞬も考慮されずに弾かれてしまう。お金とリソースの無駄使いだよ。

Trentは言う。

会社側は時に、どのバグを優先して修正するか決めなければいけないことがある。全員が同じようにゲームをプレーするわけではないからね。ゲーマーが行う可能性のある行動には何百万というコンビネーションがあって、100人以下のQAチームではその全ては到底発見できず、それが製品版にも残ってしまうわけだ。

加えて、再現不可能なものもあるため、それもとんでもないバグが見過ごされてしまう原因となっている。

せっかくバグを見つけても、再現する方法を報告書に書き出すことができなければ、例えそれが進行不可になるバグであったとしても、カウントされないんだ。必ず再現できるか、報告できるほど頻繁に起こるバグでなければ駄目なんだよ。

たとえ開発陣がQAチームに耳を貸したとしても、問題が持ち上がることはある。Trentが言う。

開発チームが修正したと言っても、次のビルドには他のバグが発生したり、全く修正されていないこともある。

バグの多くはQAテスターの責任ではないにも関わらず、勤務先を伏せているSaulは次のように述べている。

製品版に残ったバグの責任は、全てテスターに押し付けられるんだ。

Peteが付け加える。

プロデューサーはもうQAには耳を貸そうとしない。だが製品版にバグが見つかると、仮に事前にそのバグを報告していたとしても、QAの責任になるんだよ。

Samによると、発売延期を避けるためにパブリッシャーはQAテスターを「いじめ」、「納期に間に合わせるための過度な残業」を強いられるという。Samはとある社員のQAテスターの扱いを「極めて全体主義的」と表現した。IGNに返事をくれたテスターの中でも、同様の苦情が様々なパブリッシャーに対して寄せられている。

結論

ゲーム・テスターが楽な仕事だという一般認識は誤解ではあるが、過剰労働からミスが起こり易いモデルの代案も存在すると話してくれたテスターもいる。ValveやBlizzardといった会社はゲーム開発に時間をかけ、バグを一つずつ潰していくことで有名だが、様々な事情から、株主の圧力を受ける会社には賄えない贅沢品なのだ。クラウド・ベータを実施する会社もあるが、それはそれでまた違った問題を生むことがある。

QAテスターが開発サイクルでより重要な役割を担うようになれば、製品の質や売り上げは向上し、何よりもより人間的な労働環境が生み出されることは歴史が証明している。

[ソース: IGN]

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