2012年08月30日(木)03時16分

『Tomb Raider』インタビュー - 生まれ変わったフランチャイズ

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リブート版『Tomb Raider』を手掛けるCrystal Dynamicsのブランド・マネージャーKarl Stewart氏にGamingLivesが話を聞いています。

  • 機種: PS3/Xbox 360/PC
  • 開発: Crystal Dynamics
  • 販売: スクエア・エニックス

▼ 今回のリブートはかなりダークなトーンになっていますが、Laraのキャラクターに変更を加えた理由は何ですか?

Karl Stewart: 『Underworld』の開発に取り掛かる際、このフランチャイズに自分たちの個性を反映させるべきだと決めたんだ。あの作品では、Core Designから全てを引き継いで継続させていく格好だったが、色々と検討した結果気付いたのは、このフランチャイズを再び文化的に意味ある存在にすべきということだった。これが現代のLara Croftであると、ゲーマーに感じてもらいたかったんだ。この16年間でこの業界も大きく変化したが、ここ最近は特にストーリーテリングや没入感の面で大きな進歩を遂げている。プレーヤーがキャラクターとの繋がりをより強く感じられるようになっているんだ。

ゲームにエモーションを持ち込むための方法を練りだした頃、T指定では不可能な、よりダークな領域へと足を踏み入れる必要性に気付いたんだ。本作はM指定なので、ゲームの根底にあるサバイバルというテーマを通じて、どうすれば多種多様なゲームプレーやストーリーテリングを持ち込むことができるのかを考え始めた。何も最初から「ダークなゲームにしよう」と言って開発を始めたわけではなく、どちらかというと「どうすればLaraにパーソナルで人間的な要素を盛り込むことができるか?」という点を突き詰めた結果なんだよ。そのためには、ビデオゲームではあまり見ないような状況にも遭遇することになるだろうし、そういった状況は当然ながら『Tomb Raider』シリーズではお目にかかれなかったものだ。だから、「今までよりもダークなゲームにしよう」というのではなく、ストーリーテリングの必要性から自然と辿り着いた結論なんだ。

▼ Laraを文化的に意味ある存在にするというのは興味深いですね。過去作のLaraを維持したままでは、現在のゲーム市場では生き残れないと?

Karl Stewart: 今の市場で生き残り続けるのは、とても困難だろうと思う。ゲームを買い続けてくれるファンはかなりの数存在し続けるだろうが、彼女自身やその世界観が持つイメージの外側、例えばゲームプレーなどは、この数年で大幅に進化した。移動や戦闘システムに関しては、特に古臭くなってしまったと感じている。より一般層にアピールできる競争力のあるゲームにするためには、大幅な変更は避けられないことなんだ。

▼ プレーヤーが自らを投影できる、まっさらな存在としてのLaraを気に入っていたため、今回の変更は気に入らないとする批評家もいますが、誰もが共感できるようなパワフルな女性キャラクターの物語と言うのは作るのが難しいんでしょうか?

Karl Stewart: いや、その件に関して言えば、我々はLara Croftを愛しているし、これまでの彼女も愛しているが、まっさらな状態かどうかはともかく、この物語を新たな出発点として提示し、シリーズのファンはもちろん、これまで『Tomb Raider』をプレーしたことがない人にも、これが現代のLaraであるということを感じてもらいたかったんだ。万人を満足させることが無理なのは分かっているが、このフランチャイズにとって、これが正しい方向性だと信じている。『Tomb Raider』に今までとは異なるユニークな要素をもたらしてくれるだろうし、今後のフランチャイズ展開の土台になる普遍的な作品になると確信しているんだ。

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▼ 本作では、どの程度以前いた場所に戻ったりできるんですか?かなりオープン・ワールドな作りですが、私がプレーした際には、序盤で鹿を殺した後にキャンプに戻る場面で、道具がなくてまだ開けることができない箱を見つけたんです。これは、2周目にならないと開けることができないんでしょうか?

Karl Stewart: いや、そんなことは全くないよ!あれはハブ・システムであると同時に、キャンプ・システムの役割も果たすもので、各ロケーションの行き来が手軽になっている。戻ることはできるとはいえ、物語進行の都合上、先に進むことはできないが、例えば手斧を手に入れた時には、すぐに「あの場所に戻って中に何があるのか確かめてみよう」と考えるはずだよ。だから、改めてもう一度探索しなおしたり、新たな発見を楽しむチャンスをプレーヤーに提供するものなんだ。常に敷かれたレールの上を歩いていると感じることなく、プレーヤーに探索を楽しんでもらうためのハブ・システムだよ。

▼ プレーヤーにじっくりと探索することを推奨すると同時に、一定の物語を語らなければいけないわけですが、ハブ・システムの周辺に物語を構築するのは難しかったんじゃないですか?

Karl Stewart: ハブ・システムでは、まずなによりも探索を前面に押し出すことが目標だった。『Tomb Raider』といえば探索を連想するが、実際に探索をすることはできなかったからね。世界を旅するという意味では探索だったが、つまるところ一本道のゲームだった。そこで、一箇所に留まって本当の意味での探索をするゲームにできないかと感じたんだ。オブジェクティブがあっても、そこまでの道のりは複数存在するという形にするために、ハブを導入することにした。

建物の間をジャンプするにしても、レッジ・ジャンプではなく、よりダイナミックなジャンプになっている。様々なアイテムを回収するシステムも導入されているので、ツールのアップグレードも可能となった。最初から全てを持っているのではなく、徐々にアップグレードしていくようにしたかったんだ。加えて、ハブ・システムとファスト・トラベルのシステムのお陰で、とあるアイテムを手に入れた場合、一旦ハブに戻ってこれまで行くことができなかった場所に到達することが可能になった。そうやって、自然と形になっていたんだ。ハブ・システムのお陰で、ただ物語を進行させる場所というだけでなく、様々なやり方でいつでも入ることが可能な場所になっていった。自然と、今までは全く違うユニークな形になっていったんだよ。

▼ デモの最中に3つほど実績を目にしたんですが、全てシングルプレー中のミッションに関するものでした。本作のリプレー性はどの程度を考えていますか?

Karl Stewart: 物語自体がとても感情に訴える出来なので、プレー・テストでも他の要素には目もくれず、最初から最後まで一気にプレーする人が多かったが、一旦クリアすると、誰もが「色々見逃しただろうから、もう一回プレーしたい」と言っていたんだ。リプレー性は極めて高いよ。コンプリートを目指すなら、かなり時間が掛かるだろうね。中身が濃いゲームなんだ。

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▼ 武器の弾薬の種類に関する実績も目にしましたが、あれは弓矢に関するものだけなんですか?それとも、ピストルやマシンガンにも色々な種類の銃弾が登場するんですか?

Karl Stewart: あのデモは開発初期段階のもので、あれからだいぶ進化したんだ。ゲームに軽めのRPG要素を盛り込むことが目的で、それはベース・キャンプやアップグレード要素からも分かるだろう。できるだけ選択肢を多くしたかったし、武器の種類のその一部だよ。矢も回収してアップグレードしたりできるんだ。発売間近にはもっと詳しく話せると思うが、現時点ではデモからも奥の深いゲームになることは分かってもらえると思う。というのも、僅か30分のデモで全てを伝えるのは到底無理なので、現在は感情的文脈や物語の深みを伝えることに尽力しているんだ。細かな部分は、追って公開していく予定だよ。

▼ サバイバル・スキルについてですが、中にはかなりレベルを上げないと解除できないものもあるようです。このスキルは、1周で全て解除できますか?それとも、引継ぎの2周目以降でないと無理なのか、もしくは全て解除するのは無理なんでしょうか?

Karl Stewart: いや、レベル上げが可能なエリアがあるので、そこでポイントを稼ぐことができるよ。全てはプレーヤー次第で、好きなプレー・スタイルを選択できるんだ。コンプリートを目指すなら、ハブでじっくりと探索したり、全てをアンロックしたりすることになるだろうが、クリアするだけならレベルを上げる必要はないんだ。超強力な弓矢を手に入れたいか、普通の弓矢で最後までプレーするかはプレーヤーが選ぶことだよ。

▼ 収集要素に関してですが、私が見つけたものには能のお面やナレーション付きの経典がありましたが・・・

Karl Stewart: 実は、デモに含まれた内容は、現在は大きく変わっているんだ。E3に間に合わせるためのテストがあったので、デモは4月には完成していた。変更された名称も多いし、デモにもゲームに登場しないはずの名称が出ていたりしたから、アイテムなどの名称に関してはまだ決定していないんだ。確かGhost Hunterという名前も登場したが、実際には出てこないんだよ。

▼ コンプリート以外に、収集アイテムを全て集めると何か得があるんですか?

Karl Stewart: 製品版ではご褒美があるよ。収集アイテムの多くにはバックストーリーが用意されているが、現時点での名称は最終的なものではないんだ。名称はともかく、発見することで物語をアンロックしたり、世界観への理解が深まったりする。得することは多いよ。

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▼ 残念なことに、E3ではデモの特定のシーンに対して、激しい反発が起きました。私がそのシーンをプレーした際には、何度プレーしても必ず絞め殺されるか、撃ち殺されてしまいました。あのシーンに対する批判は、その後の展開を全く知らない人によってなされたものだと感じていますか?

Karl Stewart: 様々な面があると思う。まず、スタジオの誰かが誤って口にすべきではない単語を口にしてしまったのは確かだ。次に、我々はエモーショナルで生々しいアドベンチャーを作ろうとしているので、ドラマや映画なら問題なくとも、ゲームとなると不快に感じるような題材や状況に陥る場面が登場するんだ。確かに恐ろしいシーンであることは認めるが、あのシーンをプレーしてもらえれば、実際にプレーした人たちが口を揃えて言っていたように、何も問題はないと感じてもらえるはずだよ。もちろん、居心地の悪さを感じる場面であることは事実だが、批判されているような内容のシーンではないんだ。

批判していた人の99%は、あのシーンをプレーしていないし、見てもいないので、大きな問題になってしまったのはとても残念だ。我々は非常にスペシャルなゲームを作ろうとしていて、感情を揺さぶるようなシーンも登場するが、実際にプレーさえしてもらえれば、確かに我々は失言をしたかもしれないが、ゲーム自体に問題はないと感じてもらえると思う。我々は、彼女の置かれた状況やモチベーションを深くプレーヤーに感じてもらうことで、物語への没入感を高めたいんだ。これまで体験したことがないような状況に追い込まれるLaraの感情を、理解してもらえると思うよ。

▼ ネタバレをせずに教えてもらいたいんですが、あのシーン以降にも賛否が分かれそうなシーンは登場するんですか?ゲームをクリアした後に話題になるような。

Karl Stewart: その後のフランチャイズを通して記憶されるような、象徴的な瞬間を作り出すことが重要だと考えている。フランチャイズをリ・イマジンするなら、開発初期段階の時点から「何をキープして何を省くのか」という点を明確にすることが重要だったんだ。ネタバレになるから詳しくは話せないが、キープした要素の幾つかはとても伝統的な『Tomb Raider』要素だよ。今後シリーズを重ねて行った後でも、プレーヤーの脳裏に焼きつくような瞬間を盛り込むことは必須だったんだ。バットマンが初めてマスクを身に付けた瞬間とか、ジェームズ・ボンドが初めてマティーニを手にした瞬間のような、プレーヤーの記憶に残る印象的な瞬間をね。

▼ そうしたシーンが、後々彼女を悩ませるような展開になるんでしょうか?初めての殺しが脳裏から離れないといった、心理的な要素も物語に絡んでくるんでしょうか?

Karl Stewart: あまり詳細は明かせないが、プレーヤーが遭遇する全ての状況が、必ず次の行動へのモチベーションになる、というのが目標だ。手当たり次第に弓矢を撃ちまくるような、冷徹な殺し屋としてLaraを描くつもりはない。本作でのLaraは、自ら命の危険に晒され、不本意ながらも相手を殺さなければならない状況に追い込まれてしまうんだ。2人の友人が誘拐されてしまうが、そもそもその原因を作ったのは自分自身かもしれないと、Laraは気付く。彼らを救出することが彼女のモチベーションになるんだ。それに加えて、謎めいた島からの脱出を試みなければならないし、彼女を殺そうとする連中も登場する。奴らは自分を殺そうとしているので、立ち止まって話しかけている場合じゃない、といった具合に、全てが彼女にモチベーションに繋がっていくんだ。最初に人を殺した場面なども含めて、彼女を「冷徹な殺し屋」と感じるような場面はなく、常に彼女の行動にはちゃんとした理由が存在するというわけだ。

[ソース: GamingLives]

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