2012年11月12日(月)06時56分

『Mafia』元ディレクターが欧米ゲーム市場の現状にコメント「多様性が失われている」

2Kチェコ在籍時には『Mafia』のデザイナー/ディレクター、『Mafia II』のライターを務め、現在は自身のスタジオWarhorse Studiosでデビュー作のオープン・ワールドRPGを開発中だというDaniel Vavra氏がGame Starの取材に応じ、欧米ゲーム市場の現状に対する率直な意見を述べています。

▼ 今後のゲーム開発過程の進化について

Daniel Vavra: 既存のパブリッシング・モデルが、よりデベロッパー中心に変わってくれることを願っている。加えて、ゲーム開発ツールが進化することで、デベロッパーが独立性を維持しつつ、面白いプロジェクトを手軽かつ安価に形にできるようになったら嬉しいよ。そういう環境なら、革新性の役割が大きくなる。そういう時代は来ると思うよ。

▼ 感銘を受けた作り手やゲームについて

Daniel Vavra: 私は小島秀夫氏を敬愛している。彼のゲームには、いつも良い意味で驚かされるよ。1作目の『Metal Gear Solid』は、私にとって夢のゲームだった。Obsidianの『Fallout: New Vegas』のアプローチも興味深かったし、『Read Dead Redemption』も楽しんだよ。でも、どれも古いゲームばかりだからね。最近のゲームでよくプレーしているのは、ハードコアなオールドスクール見下ろし型RPGの『Inquisitor』くらいで、今年は今のところ興味深いゲームはないね。

daniel-vavra.jpgDaniel Vavra氏

▼ よりリニア度が増し、殆ど射撃練習場と化している最近のFPS全般について

Daniel Vavra: 最近のFPSは殆どが酷い出来だ。先ほども言ったように、私は『Fallout: New Vegas』が好きだが、あのゲームはほぼ完璧にノン・リニアなアプローチを形にしている。もっと「ちゃんとした」FPSを挙げるなら、オンレールな『Call of Duty』よりも『Arma』の方が好きだと言っておくよ。でも、できれば大作並みにお金を掛けて、完璧な操作性を実現した『Arma』がプレーしたい。

▼ FPSやTPSにおける自由度の重要性について

Daniel Vavra: 一番重要だと思うが、それはオープン・ワールドにするという意味ではないんだ。楽しい銃撃戦を作りたいなら、敵の挙動に変化がなければいけないし、状況を打開する時に、複数の道筋や異なる戦術といった何らかの選択が不可欠だ。最近のFPSの多くはシンプルになりすぎていて、まるで『House of the Dead』のクローンのようになっている。予期せぬ出来事が全く起こらないせいで、リプレー性が失われてしまっているんだ。デベロッパーたちは、当然ながら不確定要素の多いマルチプレーでそれを補おうとしているが、私は面白い物語や何らかの展開のあるシングルプレーで、そうしたゲームプレーを体験したい。『ArmA』と『Homefront』を足したようなゲームが理想だよ!

▼ 最近のシューターの気に入らない部分について

Daniel Vavra: 大手パブリッシャーと彼らの作る誇大妄想的なゲームには非常に失望させられる。デカければ良いというものではないんだ。私は「驚くような瞬間」という言葉が大嫌いで、そういう驚くような瞬間が2分毎に訪れるようなゲームも嫌い。どこかの生意気な奴が、そういうのがクールだと思っているんだ。『Dead Space 3』がそのパーフェクトな例で、凄い興味深いゲームを、誰も気に入らないようなゲームに変えてしまった。興味深いゲームが増えるように、独立系デベロッパーが増えてくれることを願っているよ。悪いのはパブリッシャーなんだ。

▼ 今世代のゲーム開発費について

Daniel Vavra: 彼らは、1000万ドルを開発に費やすごとに、100万本売らないと元が取れないと言っている。でもそれを言っているのは大手パブリッシャーで、彼らは無駄使いが多いからね。

▼ 高騰を続けるゲーム開発費への対処法について

Daniel Vavra: この業界には、CryEngineやUnrealのような、サード・パーティーの優れた開発ツールやテクノロジーが必要だ。開発ツールじゃなく、ゲームそのものの開発に何年もの時間を費やせるようにね。優れたアセットの市場があれば更に良いだろう。適切な価格で質の高いキャラクター・モデルなどを購入できたりしても良いはずだ。Unityはそれを試みているし、そういった未来になることを願っている。だが一方で、管理や立案のミスや、開発途中で方向性やデザインを変更したせいで、大金がドブに捨てられているという現状もある。

▼ ジャンルの発展に関する今後の展望について

Daniel Vavra: 私は、「完璧なゲームの作り方」といった類の本は好きじゃない。著者を見ると、大抵は大したゲームを作ったことのない人ばかりだからね。優れたアートにレシピは存在しないんだ。好みは十人十色だし、あらゆるジャンルやスタイルが共存可能のはずだ。誰もが『Call of Duty』のようなゲームを欲しているとパブリッシャーが思い込んでいるせいで、今は多様性が失われている。でも、それも徐々に変わりつつあるし、SteamやXBLA、iOSでインディ・デベロッパーが儲けることができれば、もっと新鮮な大作ゲームが増えるだろう。個人的には、よりオープンかつリアリスティックで、ビジュアル的に息を呑むようなゲームがもっと出てくれたら嬉しいよ。戦闘以外のことに重きを置いたゲームだ。『Dear Esther』のようなゲームが今後増えてくれたら良いね。

▼ FPSの市場支配について

Daniel Vavra: FPSが支配しているとは思わない。非常に売れている1本のゲームが偶然FPSだったというだけで、それも他のゲームのセールスの犠牲の上に成り立っている。一方、他のジャンルはとても好調だ。RPGは上手く行っているし、スポーツも人気だ。最終的には『Zelda』か『Mario』の1人勝ちだよ。

▼ 派手なFPS/TPS偏向主義が他のジャンルにもたらす弊害について

Daniel Vavra: 戦闘が多いゲームで、真実味があるシリアスな脚本を書くのは難しいんだ。敵を大量に出さない場合は、頭を捻って特殊な状況を考え出す必要がある。もしくは、ぶっ飛んだパロディだと割り切ってやりたい放題やるかだ。殆どの場合はそれが安易な言い訳になっていて、馬鹿げたアクション満載の酷いパロディが出来上がる。だが、それがスタンダードになってしまい、それが上手く行くと信じた他のゲームも、同じやり方を真似てしまうんだ。実際は上手く行かないのにね。殆どのゲームの低調な売り上げを見れば分かるはずだ。だから、確かに弊害はあると言えるよ。

[ソース: Game Star]

カテゴリ: 業界 タグ: -

最新記事