2012年12月08日(土)15時34分

『BioShock Infinite』プレビュー - 原点に忠実な精神的後継作

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『BioShock Infinite』の最新プレビューがIGNに掲載されています。

  • 機種: PS3/Xbox 360/PC
  • 開発: Irrational Games
  • 販売: 2K Games

1作目の『BioShock』と違い、『Infinite』の主人公にはしっかりとした人格がある。本作の主人公であるBooker DeWittは声を発するし、信念を持ち、Elizabethという名の女性を救出するという明確な任務を背負っているのだ。『BioShock Infinite』の序盤数時間が凄いのは、開発を手掛けるIrrationalが大量の説明でテンポを阻害していないところ。プレーヤーは、物語の自然な流れに沿って、主人公Bookerや空中都市Columbiaについて詳しく知っていくことになる。

序盤には、1作目の『BioShock』への明白なオマージュが用意されている。『Infinite』は、プレーヤーが海から灯台へと近づいていく場面で幕を開ける。『未知との遭遇』のクライマックスを思わせるブーンという音や懐中電灯を手にする場面を経て、プレーヤーはロケットに乗ってColumbiaへと旅立つことになる。一見すると、Columbiaはアメリカの歴史における重要人物たちを宗教のように崇める者たちに支えられた、分離論者のパラダイスのように見える。

空中都市に到着すると、何らかの空想技術によって空中に浮かぶColumbiaの一部が、雲をクッションにするかのように遠くに見え隠れしている。Raptureのような暗く死んだ都市ではなく、眩い光やピクニックに興じる家族たち、ホットドッグの売り子といった、決して敵対的ではない人々で満ちた都市なのだ。一目見るだけで、その世界観は一目瞭然だろう。

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弧を描く鉄製のレールがフワフワと浮かぶColumbiaの各区画を結び、コンテナを運んでいる。この都市の宗教的指導者であるComstockのポスターや銅像がいたるところに設置されている。住民の会話に耳を傾けたり、オーディオ・テープを拾うことで、物語をより深く理解することができるだろう。初対面の人物を信頼しなければいけないほど切迫した状況に追い込まれるわけでもないため、『BioShock』や『System Shock 2』のようなどんでん返しが待ち構えているわけでもなさそうである。

チュートリアルでさえ、物語を巧みに進行させていく。Columbia内のカーニバルで射的場に近づくと、プレーヤーは本作の悪役であるVox Populiのメンバーの形をした的を撃つことになるが、ここで、プレーヤーはColumbia内の派閥紛争について学ぶことができるのである。正確に的を射抜くとコインがもらえるし、どうでも良いなら何もせずに射的場を離れても良い。チュートリアルを飛ばして先へと進みたいプレーヤーへの配慮がなされている。

Columbiaの警備部隊から攻撃されて命の危険に晒されても、Bookerの心配する気にはあまりならない。というのも、Bookerは当初、自らのサバイバルと任務にしか興味を持たない冷酷な殺し屋に思えるからだ。だが、Elizabethの登場で全てが変化し始める。

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塔に幽閉されているElizabethを見つけると、彼女は外の世界に出たくてしょうがない様子だ。2人はSongbirdと呼ばれる鳥のようなモンスターから逃げながら、都市からの脱出を目指すことになる。まるでおとぎ話のお姫様のように生まれた時から書庫に幽閉されていた彼女は、遂に外の世界に出ることができて大はしゃぎで、子供のように周りの色々な物を見て回る。彼女の目は大きく表情豊かで、疲れ切った自己中心的なBookerとは対照的な、無垢で理想的存在として意図されていることが分かる。住人にとっては日常の光景と化している隔離されたトイレにもElizabethは混乱した様子だ。Bookerが彼女の目の前で初めて敵を殺した時、彼女は動揺してBookerを殺人者と呼ぶが、Bookerには反論する言葉が見つからない。

序盤で最も印象的なのが、彼女がBookerに質問を投げかける場面だ。彼女がBookerの妻について聞くと、彼は次のように応える。

「彼女は出産してすぐに死んだ」
「子供がいるの?」
「いいや」

このような台詞のやり取りが可能にするキャラクター描写は、これまでの『BioShock』では実現できなかったもので、2人の人格を極めて効果的に示すことに成功している。しばらくするとBookerも少しずつ人間性を取り戻していくが、彼がこの世界に幻滅している理由には、単なる怠惰からくる無関心以上の何かが存在するようだ。この先2人の絆が深まっていくことは明らかだが、どのような結末が待ち受けるのかは、まだ分からない。

キャラクター同様、Columbiaという都市自体も複雑で多面的だ。プレーヤーはスカイフックという装置をレールに引っ掛け、様々な区画へと移動することになる。時には、この状態から敵を殴って下に落とすこともできる。くつろぐ市民で満ちた明るいビーチから、悪魔崇拝主義者の集会まで、実に多種多様なロケーションが登場。風になびく雲を突き抜ける屋根から、Elizabethのかつての牢獄の奥底で鳴り響く無数の魔法の機械まで、細部は凝りに凝っている。Columbiaは広大な都市のように感じられるが、そのサイズにもかかわらず無駄な空間は殆ど存在せず、ゲームの大部分がリニア進行であることを考えると、似たような場所を訪れることはまずないはずだ。

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少なくとも序盤のシューティング部分に、それほど際立つところはない。魔法パワーはPlasmidではなくVigorという名前だし、自動回復式のシールドもあるとはいえ、序盤の戦闘部分に新鮮味はあまりない。Devil’s KissというVigorは、発射して敵を燃え上がらせたり、チャージをして地面に炎の罠を設置することもできるし、敵やタレットに同士討ちをさせることができるPossessionも存在する。序盤の段階ではピストルとマシンガンを入手できるが、同時に携帯できる武器は2種類までなので、他の武器を携帯したければ、そのどちらかを捨てなければならない。

Vigorに新たなリソース・システムが導入されていることは明らかにされているが、前作のEveにあたるSaltが本作のパワーの源になっているだけなので、このフランチャイズのファンならば、戦闘のリズムを掴むのは容易だろう。特殊なポーションを入手すれば、ヘルスやシールド、Saltをアップグレードすることができるので、自らのプレー・スタイルに合わせて、頑丈な戦士に成長させることもできれば、火の玉を撃ちまくる魔法使いに成長させることも可能となっている。

銃器とVigorのアップグレードは、街中に設置された自動販売機で行う。武器のアップグレードに関しては、お金を支払って命中率やダメージをアップさせるという、基本なだけが公開された。より面白いのがVigorのアップグレードで、例えばMurder of CrowsというVigorは、攻撃的なカラスの群れで敵の注意を引いたり、ダメージを与えたりできるパワーだが、これをアップグレードすると、カラスの攻撃で死んだ敵をカラス爆弾へと変貌させることが可能となるのである。

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受動的なアップグレードも再登場。その名称は発表済みのNostrumから変更されてGearという名称になっており、同時に4つまで装備することが可能となっている。1作目のTonicのように、Gearは序同的なオン家尾をもたらしてくれる存在だ。正しい組み合わせで使用すれば、特定のゲームプレーを拡張することが可能となり、空中から敵にダイブしたり、攻撃を命中させるとショックを与えることができるようになったりと、戦闘時に有利に働くようになっている。

序盤の戦闘は基本的なものばかりだが、徐々にクリエイティビティが要求されるようになってくる。ピストルとショットガンを頻繁に切り替え、炎の罠を設置して追っ手を焼いたり、Possessionを使ってタレットを味方にしたり、Bucking BroncoというVigorを使用して敵の動きを空中で止め、スカイフックを利用した必殺攻撃を食らわせるのは、とても充実感がある。最初はピストルとライフルだけだった敵の武器も徐々に強力なものへと変化し、テレポートを駆使して火の玉を投げ付けてくる敵も登場するようになってくる。後半の戦闘では、戦闘が繰り広げられる地形を利用し、戦闘の最中にヘルスや銃弾、Saltを巧みに回収し、武器とVigorの最適の組み合わせを把握することが不可欠なのだ。

限定的ではあるが、Elizabethも戦闘である程度の手助けはしてくれる。近くにいる時は決められた回数だけヘルスや銃弾を回復してくれるし、現実を歪めて物質を召喚する能力も持っている。引き裂くことが可能なエリアを指定することでElizabethに指示を出すことが可能だが、一度に一つの物質しか召喚することができないので、タレットやSalt、ヘルス・ステーションのどれを召喚するか選ばなければいけないということになる。多大なポテンシャルを感じさせるシステムだが、序盤における用い方は極めて保守的に見える。同時にElizabethは過去作のVita-Chamberのような役割を果たし、いくらかのお金と敵ヘルスの回復を代償に、死んだプレーヤーを蘇らせてくれる。

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敵のデザインに関しては、過去作よりも遥かにバラエティ豊富のようだ。テカテカした自由の女神のマスクを被った敵や、尖がったフードを被った敵、重厚な金属性アーマーを身に付けた敵、背中に棺桶を背負った敵など、実に多種多様。Vigorのエフェクトも素晴らしく、チャージしたDevil’s Kissは、火の玉が手の中で生成されたかと思えば、下から溶けていく。この時にBookerの視線を下に向けると、溶けた液体が画面の下ではなくちゃんと地面へと落ちていく様子を目にすることができるだろう。些細なディテールだが、Irrationalが細部にも気を使っていることの表れだ。

ゲームプレーの多くは1作目を継承しているものの、Irrationalは驚きや謎を盛り込むことで、先へと進みたくなるゲームに仕上げている。BookerとElizabethの関係性、固体に見えるオブジェクトが時折見せるテレビの砂嵐のような点滅、Bookerの奇妙な回想の性質、Songbird、Elizabethの超能力、宗教としての国粋主義というテーマ、派閥間の紛争まで、『Infinite』には壮大で野心的なアイデアが満載だ。これがどのような展開を見せるのか、そして納得の行く充実したエンディングが待ち受けているのかどうかは、ゲームが発売されてのお楽しみということだろう。

[ソース: IGN]

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