2012年12月30日(日)16時22分

【コラム】シリーズ化されたストーリーテリング

進化を続けるゲームのストーリーテリングを代表する3種類のトレンドをまとめたコラムがIGNに掲載されています。

ゲーム業界は続編で成り立っている。主人公にリボンを付け足して敬称を変えただけで続編と呼んだMs. Pac-manの遥か以前から続編は存在し続けた。伝統的に、続編には2種類存在する。進化したゲームプレーと世界観の構築に重点を置いた、それぞれが単体で機能する『Grand Theft Auto』のようなフランチャイズ。そして、映画や小説と同じように物語を継続していく、『Halo』のような伝統的な続編からなるフランチャイズだ。

だが、ゲームの製作工程や配給方法が変化するにつれ、クリエイティブ面も変化しつつある。その結果、ゲームを使ったストーリーテリングで新たな試みに挑戦したエキサイティングなプロジェクトが生まれている。業界内におけるこうしたトレンドは複数の最新タイトルにも顕著であり、ゲームにおけるシリーズ化されたストーリーテリングにまつわる問題に、開発陣がどのように取り組んでいるのかが見えてくる。

1064.jpg『The Walking Dead』
ゾンビ・アポカリプスからのエピソード

Telltale Gamesはエピソード形式トレンドの先駆者と言える。彼らはこれまでに『Sam & Max』や『Monkey Island』の新チャプターをリリースし続ける一方で、『Back to the Future』をエピソード形式のポイント&クリック・アドベンチャーに仕立て上げてきた。それらは商業的にも批評的にもまずまずの成功を収めてきたものの、Telltaleは2012年の『The Walking Dead』で遂に死体だらけの金脈を掘り当てた。

『The Walking Dead』の成功とエピソード形式に関連性はあるのだろうか?単体の巨大なゲームとしても機能しただろうか?テレビの連続ドラマは、物語の推進力で視聴者を毎週テレビの前に引き戻そうと努力している。これは『The Walking Dead』も同じだが、そこには他の要因もある。インタラクティブに分岐するという物語構造はもちろん、エピソード同士の間隔が長いことも、各々の選択やその結果を比べ合うプレーヤー同士の会話を盛り上げた。単体の巨大なゲームは発売されたらそれっきりだが、このシリーズの評判はエピソードを増すごとに大きくなり続けたのである。

『The Walking Dead』の成功は特殊な例なのだろうか?それとも、今後の流行を示唆しているのだろうか?興味深い。

3716.jpg『Mass Effect 3』
『Mass Effect』の分岐する物語

プレーヤーの選択は、ゲームに欠かせない要素だ。プレーヤーの行動が物語に影響を及ぼすゲームは数多いものの、そうした選択や結果は普通、1本のゲーム内で完結するものだった。『Mass Effect』シリーズは、プレーヤーの選択がトリロジー全体に影響するというストリーテリングへのアプローチを売りにした。『Mass Effect』は惑星や種族を股に掛けた銀河戦争における同盟関係や死、恋愛のもつれを追跡。ゲームが唯一追跡しなかったのは、宇宙STIの広がりくらいのものだ。

『Mass Effect』はその結末が声高に批判された。多くのファンは、分岐する物語構造のポテンシャルを活かしきれなかったと感じたのである。それまでは重要だったはずのプロットやキャラクターが3作目ではぞんざいに扱われ、これまでの選択が最終的な結末に殆ど影響を及ぼさなかったからだ。だが、『Mass Effect』は自らの前評判や野心の犠牲になったのか、それとも、このような欠点はシリーズ化されたストーリーテリング自体が抱えるものなのだろうか?

物語が分岐するということは、ゲームが進むにつれプレーヤーの選択が及ぼす影響が複雑化していくということを意味している。プレーヤーの選択が増えるほど、プレーヤーの感情移入度も増していく。プレーヤー自身が築き上げた関係性を中心とした、プレーヤー自身の物語になっていくのである。

分岐点が増えると、その分プレーヤーの数だけ期待が膨れ上がることになる。万人を満足させることは可能なのだろうか?この問題は、多くの開発陣を悩ませ続けることだろう。

『Mass Effect』同様、『The Walking Dead』も分岐する物語とプレーヤーの選択に重点を置いている。『Mass Effect』の壮大なスケールとは異なり、『The Walking Dead』はよりパーソナルで、空虚さを増していく世界における小数の生存者の運命を描き出している。物語の焦点を絞ったことが分岐する物語というモデルに有利に働き、結果としてプレーヤーの選択に更なる重みと結果がもたらされる、より引き締まった物語を可能にした。

前述した2作品は、物語を分岐させることでプレーヤーの没入感を増すことができるという証明となっている。だが、両作品ともそうしたスタイル特有の限界も抱えている。このようなスタイルのストーリーテリングは、まだ発展途上にあるということだ。

4911.jpg『Assassin’s Creed 3』
『Assassin’s Creed』とメタ・ストーリー

現在のゲーム業界でも最大級のフランチャイズと言える『Assassin’s Creed』は、その物語構造が人気の秘訣と言っても過言ではないだろう。各ゲームの大部分は単体で機能するアドベンチャーであり、独自のストーリー・アークとロケーション、そして時代設定が存在する。それらを一つに結ぶのが、Desmondという1人の主人公を通して語られる全体のメイン・ストーリーだ。

このアプローチを取ることによって、必要に応じて各ゲームを劇的に変化させることが可能となり、時代や空間を大きく変化させることで新鮮さを保つことができる。全体を覆うメイン・ストーリーが全てを一つにまとめ上げ、プレーヤーの興味を持続するのである。

一方で、こうしたスタイルには落とし穴も存在する。まず、メイン・ストーリーを進める方法とタイミングはバランスが肝心だ。次に、メタ・ストーリーと主人公はしっかりと掘り下げられていなければならない。この両方において、Ubisoftは綱渡りを続けているが、概ね上手くバランスを取れていると言えるだろう。

これは、単体で機能するゲームと伝統的な続編の良いところを合わせたモデルだ。各ゲームで様々な新しいアイデアを確立すると同時に、一貫したストーリーラインを構築することが可能になる。このテンプレートを使用した他のデベロッパーのゲームが成功するかどうかは分からないが、次世代機では多くのデベロッパーが、シリーズ化されたストーリーテリングのテンプレートとして『Assassin’s Creed』を参考にすることは間違いないだろう。

[ソース: IGN]

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