2013年01月30日(水)15時06分

『Outlast』インタビュー - 暗闇が生む極限の緊張感

2013年中にPCでリリース予定のサバイバル・ホラー『Outlast』の最新インタビューがVG247に掲載されています。

  • 機種: PC
  • 開発: Red Barrels
  • 販売: -

Red Barrelsは、ゲーム業界に訪れた激変を示唆する存在だ。最近では、ベテラン開発者たちが居心地の良い大手スタジオを抜け出して、独立系スタジオを設立することも珍しくない。夢のプロジェクトの追求から、近年可能性が広がった新たな配給ルートの活用まで、このような転身を図る開発者は増え続けている。

このモントリオールのスタジオには、経験豊富な開発者が数多く在籍する。『Uncharted: Drake’s Fortune』『Prince of Persia: Sands of Time』『Assassin’s Creed』そして『Splinter Cell: Conviction』を手掛けた経験を持つ彼らは、アクションのことを知り尽くしている。

とはいえ、アクションとホラーの相性はそれほど良くない。最近では『Biohazard 6』への批判に顕著だが、『Outlast』はホラー・ジャンルにちょっとしたヒネリを加えている。『Outlast』は、闇の企業を白日の下に晒すために廃墟となった精神病院に潜り込んだ記者Miles Upshurの物語。カメラのナイトビジョンだけを光源に、彼は思いもよらない事態に巻き込まれていく。

この施設には人体実験の名残が残されており、血に飢えた凶暴な患者がプレーヤーの命を執拗に付け狙うのである。戦闘経験も武器もないプレーヤーの唯一の選択肢は逃げること。必死で逃げることだけだ。パルクール・アクションがふんだんに盛り込まれた1人称視点のゲームであり、『Amnesia』と『Mirror’s Edge』を足したようなゲームを想像すれば分かり易い。共同設立者のPhilippe Morin氏は言う。

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Philippe Morin: 私とDavidは長年ホラー・ゲームを作ろうとしてきた。リストのトップには、常にホラーが君臨していたんだ。あとは、どのようなオリジナリティを加味できるかを考えるだけだった。当時は『Amnesia』発売から数ヶ月が経っていて、戦闘を削除することでサバイバル・ホラーの原点に立ち返った彼らのやり方は非常に興味深いと感じたよ。

と同時に、我々自身の経験を活かすことを心掛けた。DavidとHugoが『Splinter Cell』で培ったステルスの経験、我々が『Prince of Persia』や『Assassin’s Creed』で培った移動やプラットフォーマーの経験を用いることで、ホラー・ジャンルの新たな解釈を生み出したんだ。

Mount Massive精神病院の暗闇の中を動き回る時、プレーヤーは敵に見つからないように足音を殺さなければならない。敵の怪物に発見された途端、一転して激しいチェイスへと切り替わり、プレーヤーは敵から逃れるために高所を目指さなければならなくなる。敵の魔の手から逃げるには、立ち止まらずにひたすら走り続けるしかないのである。

Philippe Morin: パルクールは主にチェイス場面で登場することになる。それにより、敵から逃げる時のチェイスを極限までエキサイティングにできるんだ。ステージを移動する場面の殆どはステルス・ゲームだけど、そこにホラー風味が加わっているよ。

緊張感を高めるためには、敵に捕まったら確実に殺される、とプレーヤーに感じさせなければいけない。殆どの場合、敵に捕まったらプレーヤーは死んでしまう。そこで緊張感を一気に極限まで高めようとしているんだ。

敵に対処する場合も、ステルス・ゲームと同じで音を立てずに近づいたり、回り込んだりしなければいけない。でも、本作では敵に近づいてステルス・キルをしたり、消音銃で敵を片付けたりすることはできないんだ。

緊張感を高める場面や、自分が極めて無力であるという感覚にも限度はあるものの、Morin氏はプレーヤーが自分の強さを実感できるような場面はあるのかという質問を一部の批評家やゲーマーから受けたことを認めている。私個人は、これを聞いて悲しい気持ちにさせられた。緊張感や興奮は、必ずしも銃口や刃の先端からもたらされるものではないからだ。

このような批判に、Morin氏は次のように答えている。

Philippe Morin: その批判に100%同意はできない。敵と相対した時に無力なのは当然だが、同時にプレーヤーは「どうすれば敵を排除できるのか?どうすれば敵を避けることができるのか?」ということを必死で考えることになる。

我々が関わった『Splinter Cell』のように、このゲームでは暗闇を多用していて、そこでナイトビジョン・メカニックが登場する。しかし、ベッドや机の下に隠れている時にナイトビジョンを使うと、カムコーダーの光が敵に見つかってしまうかもしれない。だから隠れている時はスイッチを消さないと、見つかる危険性が増してしまうんだ。

スイッチを消すということは、プレーヤーが完全な暗闇に包まれることになる。敵が近くにいるのか、去っていったのか、音で判断するしかなくなるんだ。そういう場面が、面白い緊張感を生み出してくれると思っている。

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『Outlast』の物語は『Splinter Cell』1作目のライターが手掛けているが、プレーヤーに充分な背景物語を提供しつつも、古典的ホラーに付き物のあいまいさもある程度は残されるという。未知に対する恐怖は強力なものである。

Philippe Morin: ゲームの最後にプレーヤーは、この精神病院でどんな実験が行われていたのかを理解するだろう。だが、多少謎めいた部分は残しておきたいと思っている。プレーヤー自身が興味を持って調べてくれるようにね。

当然ながら、プレーヤーの目標はサバイバルだから、ホラーだけを目当てにプレーする人は、そのようにプレーしても構わないんだ。でも、もう少し深く掘り下げたいと思うプレーヤーには、色々な情報が隠されている。大量のカットシーンがあったり、他のキャラクターから情報を沢山与えられたりするようなゲームではなく、全体的には『Half-Life』のような感じだが、時間を掛けて調査したいというプレーヤーなら、多くの情報を手に入れることができるんだ。

プロットに関して、Morin氏は本作の主人公Upshurは『ドラゴン・タトゥーの女』を生んだ小説『ミレニアム』トリロジーに登場する記者ミカエル・ブルムクヴィストに似たキャラクターであると語っている。タフな調査員であるUpshurは、イラクの戦場で出会った情報元から、精神病院で行われていた偽実験についてのタレコミを入手するのである。

ホラー、特にゾンビ・ジャンルが飽和状態にある現状を踏まえ、ゲーマーが『Outlast』を「ブームに便乗したゾンビ・ゲーム」と見なしてしまう懸念は抱いていないのだろうか。因みに、本作の敵はゾンビではないが、Morin氏は興味深い答えを返してくれた。

Philippe Morin: ビックマックはビックマックなんだ。未だに多くの人が食べている。だから、プレーする価値があるとプレーヤーが感じる何かがそこにあれば、ジャンルは生き続けるんだ。

我々の場合は、ゲームの舞台が精神病院だから、「完全な」ゾンビを敵にはしたくなかった。というのも、彼らは既に風変わりな個性を備えているし、精神異常犯罪者だから、そこに力を入れるべきなんだ。

ビジュアル的にも実験が彼らの体に変化をもたらしていて、精神は異常者のまま。ハンニバル・レクターのような狂人に遭遇する可能性もあるんだ。このゲームで出会うのはそういうキャラクターだよ。見た目は普通で、もしかしたら病院の職員かもしれないんだ。信頼すべきなのかどうか?というところだよ。

こういった体験をプレーヤーに提供したい。通路の向こうに車椅子に座った男がいたとして、プレーヤーには何が待ち受けているのか予想ができないんだ。横を通った時、そいつはブツブツ独り言を言い続けるのか、それとも襲い掛かってくるのか?そういうところから緊張感が生まれる。そういうのをプレーヤーに感じてもらいたいんだ。

[ソース: VG247]

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