2013年02月18日(月)06時37分

『Destiny』プレビュー - 1人称シューターの未来

遂にその全貌が明かされたBungieの最新作『Destiny』。IGNによるプレビュー記事を。

  • 機種: PS3/Xbox 360
  • 開発: Bungie
  • 販売: Activision

スタジオの共同設立者で、表舞台には滅多に姿を現さないJason Jones氏自らが紹介するのだから、『Halo』後初となる新作の発表にかけるBungieの意気込みは理解できるはずだ。360名超のスタジオが手掛ける、Xbox 360とPS4、そして「次世代テクノロジー」向けの常時オンライン一人称シューターが『Destiny』だ。

新世界を舞台にしたBungieの次の傑作シューターが『Destiny』であり、「少々クレージー」なプロジェクトと呼ぶJones氏。クレージーというわけでもないが、極めて野心的ではある。

「ユーザー層を広げるために慎重に『Halo』で実験を繰り返してきた」と語るJones氏は、マウスとキーボードでプレーするものだったFPSをコントローラーでプレーするジャンルへと進化させた経験を活かし、新たな革新に挑戦しているという。

その答えが、擬似MMO体験(彼らは「シェア・ワールド・シューター」と呼んでいる)を提供するというもので、1人でプレーすることも可能でありながら、友人とシームレスに繋がるようデザインされている。ソーシャルと協力プレーを念頭に置いて一からデザインされているという『Destiny』は、MMOFPSなのだろうか?月額課金は?Activision Publishingの最高経営責任者Eric Hirshberg氏は「ノー」と断言。プレーにインターネット・コネクションは不可欠なのだろうか?その答えはイエスである。

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Bungieは、『Destiny』を構成する主要要素を7つの柱に絞っている。このラッキー・ナンバーに対するBungieの執着心を知っている人間にはお馴染みの数字だ。全てのコード、全てのアートがこれらの柱を正当化するものでなければ排除する、とはBungieの弁。

柱 #1: プレーヤーが居続けたくなる世界

「この柱が開発初期に大きな影響を我々に与えた」と語るJones氏は、『Destiny』に関わってから既に6年が経過しているという。一方、他のBungieスタッフは2009年頃に参加し始め、2010年9月に『Halo: Reach』を出荷すると同時に、スタジオ全体が『Destiny』へと完全に移行したという。「この世界観はクールか?この世界に留まりたくなるか?この世界について深く知りたいか?」

その世界とは、終末後の地球だ。絶滅寸前に追い込まれた人類は、宇宙外から現れたThe Travelerによって救われる。この巨大な白い球体は、人類最高の頭脳が集結する地球最後の安全都市の上空に浮かんでいる。徐々に、人類は火星や金星、月などを探索可能なところまで復興。だが、今度は多種多様なエイリアンが人類にトドメを刺そうと待ち構えている。Guardianの一員として、彼らを食い止めて地球を守り抜くのがプレーヤーの使命である。

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『Destiny』の実際のプロットは、予定されている10年というライフ・サイクルの過程で、それぞれが単体の物語となっている連続小説のように語られていく構造になっているが、Bungieのナレイティブ・ディレクターJoseph Staten氏は次のように語る。「極めて重要な教訓は、最も大切な物語というのは我々が語るものではないという点だ。それはプレーヤーが語るものであり、シェア・アドベンチャーによって形作られるパーソナルな伝説だよ」。

柱 #2: 楽しさが詰まった世界

Staten氏は続けて、『Destiny』のゲームプレー・シナリオの一例を語ってくれた。Staten氏のWarlockクラスのキャラクターとJones氏のVanguardクラス(Staten氏によると、全てのGuardianはTravelerのパワーを身に付けているという。「魔法と呼んでも構わないよ」)が共に冒険に出た時のことだ。

彼らは、家として機能している補強された一枚岩にいる。ここでは、他のプレーヤーと親交を深めたり、装備をしたり、グループを組んで銀河に飛び出すこともできる。沢山のプレーヤーがいて、知った顔もいれば、知らない顔もいる。冒険に出るプランを練っているプレーヤーもいれば、夕日を眺めるだけのプレーヤーもいる。リアルタイムのダイナミック・ライティングとグローバル・イルミネーションを組み合わせた『Destiny』の新エンジンのお陰で、夕日の美しさも格別だ。

Jones氏のキャラクターはレベルも高く、お洒落な黒い宇宙船といった優れた装備を持っている。比較すると、Staten氏の小さい宇宙船は、彼の言葉を借りると「宇宙カローラ」のようだ。宇宙船は様々な目的で使用される。現時点ではScoutクラスのみが言及されているが、スペース・コンバットの存在も示唆されている。

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火星へと向かう2人は、「失われた人類文明の骨」を発見。「古代の都市だよ」とStaten氏。「砂の中に埋もれている。黄金期の貴重な残骸だ」。Dust Palaceの地下に眠るとされるお宝への道筋を阻むのは、Cabalとして知られる巨大で甲冑を身に付けたサイのようなクリーチャーの群れ、Sand Eaterだ。

2人は銃撃戦で劣勢に追い込まれた。運が良いことに、謎めいた女性プレーヤー(Hunterクラスだ)がGhost風の尖った乗り物で登場し、「The Fate of All Fools(愚者の運命)」と名付けられたユニーク武器で戦況を一変させた。ゲームの背後で行われているマッチメイキングのお陰で勝利を収めた彼ら。『Halo 2』以降の全ての『Halo』のオンライン・バックボーンとなってきた、Bungieの革新的なテクノロジーの進化系だ。

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「他のプレーヤーに遭遇するのは最高だよ」とStaten氏。「他のシューターではこんなことは起きないからね」。

2人が3人になり、Dust Palaceの最下層Charlemagne’s Vaultへと辿り着くと、Staten氏は新たなピストルを手に入れた。女性プレーヤーの武器のように、このピストルにも「Thorn(トゲ)」という固有名が与えられている。45口径のハンド・キャノンにはピッタリだ。旅が終わると、女性Hunterは登場した時と同じように颯爽と去っていった。どこか『風ノ旅ビト』を思わせると感じたのは君だけではない。

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「このようにして」とStaten氏。「Dust Palaceは私の物語の一部になった。『Destiny』の世界は多種多様で深みがあるから、自分だけの冒険を見つける気にさせられるんだ。自分の足跡を残すことができる場所だよ」。

柱 #3: プレーヤーが欲しがるリワードを提供すること

Jones氏によると、ゲームには獲得、発見、作成可能な素晴らしいアイテムが無数に存在するという。『Destiny』では全ての行動にリワードが付随する。ユニーク武器以外にも、ヘルメットからマンと、アーマーから顔に至るまで、全てが各プレーヤー独自の物になるそうだ。Bungieの目標は「プレーヤーが毎日、毎週、毎月、毎年プレーするゲームにすること」だとJones氏は語る。

柱 #4: 毎晩新しい体験ができること

「1時間掛けて何かを達成できると想像して欲しい」とJones氏。Bungieは「ログイン中に、目的とは違うことに目が行ってしまう」ような臨機応変なアクティビティを目指している。「プレーするたびに前回とは異なる体験ができるゲーム」にすることを望んでいるとJones氏。

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MMORPGのファンには馴染み深い「レイド」という単語がプレゼンテーションの最中に使用された。一人や少人数向けだけでなく、大人数用のシナリオも用意されているようだ。あらゆるムードに合わせたアクティビティが存在するという。

この柱のコンセプトの延長線上として、『Destiny』にはメイン・メニューが存在しない。その代わり、プレーヤーはゲームを起動した瞬間に、常に生き続ける世界へと放り込まれるのである。

柱 #5: 他のプレーヤーとシェアできること

『Destiny』は1人でも十分すぎるほど楽しめるという点をBungieは強調しているが、彼らの話を聞けば聞くほど、私の気持ちはよりソーシャル寄りに傾いていった。

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「楽しいことは友人と一緒の方がもっと楽しいんだ」とJones氏。当然ながらフィーチャー満載の対戦マルチプレーも収録予定だが、Jones氏はもちろん、Bungieの誰もその詳細については軽いヒントすら提供してくれなった。プレーヤーが明確に望まない限り、プレーヤー同士の対戦を強いられることはないという点を除いて、だが。

柱 #6: 初心者から上級者までが楽しめること

「シューターの初心者からハードコアなFPSプレーヤーまでを満足させる」ことが『Destiny』の目標だとJones氏は語り、「全てのコア・アクティビティは初心者でも楽しめる」ものになると約束。「それは難しいことではないが」とJones氏。難しいのは、「上級者の興味を維持すること」だという。

柱 #7: 我慢強くないプレーヤーも楽しめること

君がいようといまいと、『Destiny』は生き続ける。とはいえ、四六時中この世界に留まれるほど暇ではないはず。そのために、モバイル・アプリが存在する。事前に録画されたiOSデモとして公開されたそのアプリは、新クエストや友人の動向を逐一報告してくれる。Bungieはモバイルのコネクションを利用して友人のゲームに影響を及ぼすことが可能な機能も示唆しているが、それ以上の詳細は明かしてくれなかった。

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「我々が考えた嘘っぱちを理解するために、努力して文章を読んでインターネットで調べたりしたいプレーヤーなどいない」と語るJones氏。言い換えれば、Bungieは本作があくまで現実逃避のエンターテイメントであることを理解しているのである。

「だからこそ、インターフェースには多大な投資をした」とJones氏。Bungieには語るべき物語と伝えるべき情報があるが、そうした情報でプレーヤーを煩わせたくないのだという。

BungieとBeatle

7本の柱全てが出揃ったが、私はここで8本目を付け加えたい。素晴らしい音楽だ。Bungieのベテラン作曲家Marty O’Donnell氏(そう、ビタミン剤CMのジングルや伝説的な『Halo』テーマ曲でお馴染みの彼だ)は、『Destiny』の楽曲を鋭意作曲中だ。50分に及ぶサウンドトラックが既に完成済みで、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで106人からなるオーケストラを用いて録音された。中には、O’Donnell氏が長年の作曲パートナーであるMike Salvatore氏や、ロック界の神Paul McCartney氏と共作をした楽曲も存在する。幾つかサンプル音源を聞くことができたが、O’Donnell氏が絶好調であることが窺えるだけでなく、「必要なだけ続く」楽曲があることからも、何の制約もないことが分かる。殆どの楽曲は5分から7分ほどの長さとのことで、これはBungieのゲームに合わせるために最大で3分に抑えられていた過去の楽曲を遥かに越える長さとなっている。

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これは是非聞きたい質問だった。Paul McCartney氏にNGを出すことはできるのだろうか?「Paul McCartneyにノーと言ったことはないよ」とO’Donnell氏は笑う。『Destiny』に適していないと感じた楽曲に関しては、「モチーフやテーマに手を加えていく」という。

O’Donnell氏が、Beatlesファン向けのMcCartney氏にまつわる逸話を紹介してくれた。McCartney氏は、Beatlesのアルバム『Revolver』で使用したサウンド・マシーンを引っ張り出して『Destiny』のサウンドに用いたのだという。「クールなんてものじゃないよ」とO’Donnell氏は微笑む。

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残念ながらBungieはサンプル音源を公開させてくれなかったが、渋めのチャントで引き締められた『Halo』らしさが感じられる楽曲があったことはお伝えできる。だが、それ以外の楽曲は『Halo』と大きく異なるものだ。とはいえ、どの楽曲もハリウッドの大作人間ドラマ映画の楽曲だと勘違いしてしまいそうなクオリティである。

『Destiny』には『Halo』のチャントのような、永遠に記憶されるテーマ曲は存在するのだろうか?もしまだなら、O’Donnell氏は作曲したいと考えているのだろうか?「これがテーマ曲だ、と言えるようなものはまだリリースしていないよ」とO’Donnell氏。「でも、本作の音楽には様々なテーマがあって、内1曲は自然と全てが盛り込まれたテーマ曲になっていくかもしれないね」。

他には?

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Bungieのアート・ディレクターChristopher Barrett氏は、『Destiny』を「神話SF」ユニバースと呼び、様々なロケーションを紹介してくれた。欧州デッドゾーンの最果てに位置するCosmodome Breach、Old Chicago(恐らくBungie発足の地へのオマージュだろう)の沼地、土星の環の中に浮かぶ放置された艦隊、地球の月のHellmouth、未開の深淵Reef、巨大な黒曜石でできたピラミッド船、全長1マイルを越える宇宙船などなど。

更に、様々なキャラクターも登場する。仲間となるGuardianには、少なくともTitan、Warlock、Hunterという3つのクラスが存在。Vexとして知られるタイム・トラベル・ロボット、前述のCabal、Spider Pirateと錆付いたマシーン、邪悪なスペース・ゾンビ、Guardianの一派閥らしいFOTC・・・現時点ではここまでだ。

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当然ながら、これら全てを作り上げるのは相当大変な仕事だ。Barrett氏によると、過去作全てを合わせたよりも多くのコンセプト・アートをこのゲームのために描いたという。

夢について語り、実現するために努力する

Bungieは今回、『Destiny』のコンセプトの紹介に尽力した。ゲームプレー映像はほぼ見せてもらえなかったし、目にできたイン・ゲーム素材も全体で60秒ほどだけだろう(とはいえ、月の地表の印象的な基地や、GuardianがTravelerの街を見下ろす美しいショットなど、スクリーンショットはどれも技術的に素晴らしいものだった)。どちらかと言うと、「我々はBungieだ。信用して任せてくれ」といった雰囲気が充満していた。大胆な宣言がなされ、『Destiny』への期待に胸膨らませる結果となった。

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実際のところ、『Halo』での実績を考慮すれば、Bungieが新作に抱く自身は保障されたようなものだ。それでも、開発チームはゲームの完成まで慎重な姿勢を崩さないように見える。「大量のユーザーを獲得しなければならない」とStaten氏は言う。「過去の実績は無意味だよ」。彼の言葉は正しいが、今後もし全てが現実のものになるなら、『Destiny』は次世代アクション・ゲームを再定義するゲームになるかもしれない。そうなることを願っている。Bungieの思い描く1人称シューターの未来こそ、我々が望む未来だからだ。

[ソース: IGN]

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