TimeShift プレビュー - シングルプレー
時間を操るメカニックが売りのSF一人称シューターTimeShiftのプレビューがIGNに掲載されています。開発はロシアのデベロッパーSaber。
オープニング・シークエンス(まだ最適化されていなかったが)では、もう1つの時間軸で全体主義の独裁者となっているマッド・サイエンティストKroneをプレーヤーが追跡しているという、ゲームの背景となる物語をざっと教えてくれる。Kroneを失脚させようという反乱が起こるものの、彼には時間をコントロールできるAlphaスーツがあり、そもそも彼が世界を支配できたのも、このスーツのお陰だ。ありがたい事に、プレーヤーは更に進化したBetaスーツを着ている。プレーヤーの任務はシンプル。反乱軍に加わり、Kroneを倒す事だ。
当然、物語はアクションの言い訳に過ぎないわけだが、この物語によって、救うに値する世界、プレーヤーが救いたいと思う世界をSaberが構築する事を可能にしてくれた。紛争はこの都市を2分し、プレーヤーはその合間でかつて栄華を誇った都市が崩壊していくのを見つめる事になる。TimeShiftには、確実にCity 17のエコーがある。街中のスクリーンにKroneの姿が映し出され、巨大なStridersの代わりに巨大なロボットが街をパトロールしていて、多くのスリリングな場面を演出してくれる(ハリウッド的な、プレーヤーが走って逃げる背後でビルがロボットに爆破されるシーンなど)と同時に、手際よく道筋を地ならししてくれる事も度々ある。しかし、TimeShiftは独自の輝きを持っていて、都市は独特のダークな雰囲気を持っているが、舞台は都市のみならず様々な場所に移動していく。
TimeShiftの芸術性の一部は、開発初期段階のものが基礎となっている。このゲームの開発進行状況を追って来た者は知っていると思うが、武器の機械的で華やかな表現から街全体の色調や建築様式まで、初期のTimeShiftはスチームパンクの影響を色濃く感じさせるものだった。スチームパンクがユーザーの共感を得られないと感じて、開発チームはデザインをより現代的なものに変更させていったにもかかわらず、その影響はまだ残っている。Saberが初期段階のものを発展させていったわけだから、当然といえば当然ではあるのだが。新旧のデザインが噛み合っているかどうかについての結論はまだ保留しておくが、現代的な廃墟から、様々なノブや点滅する光で埋め尽くされたレトロなコンピューターが一面に広がる奇妙な研究所や、丸いガラスの窓と華美なブックエンドが付いた巨大な金属製の本棚が並ぶ図書館へと周辺の環境が移行していく様は良いスパイスになっている。
では、街とゲームの冒頭の話に戻ろう。オープニングでは時間を操るパワーは使用できず、まず武器を拾ってKrone軍に殺されそうになっている反乱軍の兵士を何人か助ける事になり、反乱軍に認められる事になる。時間を操るパワー無しでのプレーも楽しく、開発チームがこういった方向でゲームをスタートさせた理由もうなずける。このゲームが時間をコントロールするというメカニックに依存していると思っている者に対しての「核となるシューター部分は素晴らしいんだぞ」という声明である。それに、最初にゲームをプレーした時は、グラフィックに色目を使うのに忙しすぎて時間コントロールをいじくる余裕はないだろう。単純に言って、一年以下で開発チームは既に申し分のなかったグラフィック、エンジンとあらゆるアセットの刷新を行い、素晴らしい作品を作り上げた。
最初のシーンは、その先に待ち構えるミッションの物悲しいトーンを作り出している。真っ暗な闇夜の中、雨が降り注ぎ、下水管から水が噴出し、地面の石の周辺に水溜りを作り出すと同時に、建物の壁を流れ落ちている。都市を覆う重苦しい空気は明らかで、道路には瓦礫が散乱し、建物は爆発で破壊されている。多くの反乱兵がコンクリートのバリケードの後ろに身を隠し、Kroneの軍と交戦中だ。数秒ごとに鳴り響く雷が辺りを明るく照らし、周辺の全ての物体の影がリアルタイムで描写され、次の瞬間には厳しい現実という闇の中に消えていく。
プレーヤーは冒頭から様々な武器にアクセス出来る。グレネード・ランチャー付のライフル、爆発物を発射するズーム付クロスボウ、オートマチック・ショットガン、威力は弱いがバースト射撃が可能なハンドガンなどだ。同時に3つの武器を装備する事が出来、多くの武器はズーム付だ。サイトを覗くたびに、素晴らしい被写界深度エフェクトに気を取られるだろう。
我々がプレーしたステージはどれも一本道だったが、開発チームはゲームにバラエティをもたらそうと努力していて、それは色々な環境を提供するというだけでなく、ある時は一本道、ある時は開かれたマップというようにゲームのペースを首尾一貫したものにしようとしている。都市の通りを進み、建物の階段を登り、非常口へと抜け、建設現場から下水道、地下室へと進み、公園内をカバーからカバーへと移動しながら、研究所や敵本拠地へ侵入する。ATV車両の後ろ隠れながら進んだりといったものもある。アクションが途切れる事はないものの、特別進歩的なマップ・デザインというわけではない。例えば序盤のとあるステージは、塹壕に沿って歩いていくと数歩ごとに敵が飛び出してくる作りになっていて、Timeパワーを試す絶好のシチュエーションになっている。
では、Timeパワーについて話すとしよう。プレーヤーが着ている新型スーツこそTimeShiftの特徴で、時間を止めたりスローにしたりして、敵に襲い掛かったり、向かってくるロケット弾を避けたり、敵兵が自分に気付いたり、ロケット弾を避けれなかった時にその前まで時間を巻き戻したりする事が出来る。これは全て1つのボタンで行われ、スーツのAIシステムが状況に合った特定のパワーを薦めてくれる。ありがたい事に、ボタンを押し続ける事でAIを無視して自分が使いたいパワーを自由に使う事が可能になっている。
時間をコントロールするシステムでは、敵の銃を撃ってそれを空中でキャッチしたり、スローモーションで敵を吹っ飛ばして、ちぎれて宙を舞う敵の頭を爆発する弓矢で串刺しにしたりといった、クールな事が出来る。自分の身をわざと晒してから時間を止めて他の場所に隠れ、敵兵が馬鹿みたいに何もない空間を眺めている。そんなひねくれた隠れんぼが出来るという誘惑に、誰が勝てるというのだろうか。かといって敵兵が何も変わった事をしてこないというわけではない。例えば敵兵の銃を奪った時などは、投降したように見せかけ、大人しく従う振りをして地面に落ちている銃のそばに伏せたかと思うと、急に銃を拾ってプレーヤーの顔面目掛けて撃って来たりするのだ。
Time Juiceは常に蓄えておくのが賢明だろう。いつ敵にSticky Grenadeを引っ付けられて(自分の周りで火花が散るので分かる)時間を巻き戻す羽目になるか分からないからだ。
我々がプレーした限りでは、TimeShiftパワーは戦闘を中心に考えられていた。パズル的なものを想像していたユーザーはガッカリするだろう。パズルはどれも簡単なものばかりで、時間を止めて電気が通った水や炎、崩れ落ちそうな暖炉を通り抜けるとか、時間を遅くして動くレーザーが張り巡らされた通路を進む、といったものだ。これは、Saberがアクションを届ける事を第一に考えているからだ。時間を操るパワーは、様々な付加価値とポテンシャルを秘めている。
このパワーは、開発チームに興味深い技術的チャレンジとデザイン上の決定をもたらした。例えば、大量の爆発するバレルがあり、それを爆発させ、バレルが存在した場所に歩いて行き、時間を巻き戻した場合だ。バレルと同じ空間を共有する事になるのか、プレーヤーの上に存在する物理オブジェクトとなるのか、それともプレーヤーを殺してしまうのか?正解は3つ目で、時空間の連続性を侵したという説明文と共に死ぬ事になる。ATVに乗っている敵を倒して車両を奪い、運転して先に進んだ後で時間を巻き戻したら?もうそこには存在しないわけで、ATVに戻る事は出来なくなる。プロジェクトの開始当初、Saberのオフィスではこうした議論が延々と繰り返されたという。勿論ロシア語で。
そして、AIの行動という問題もある。ガードがプレーヤーを発見する前まで時間を巻き戻すなら、リセットするだけなのでいたってシンプルだが、時間を止めてその手から武器を奪い、隠れたらガードはどう反応すべきだろうか?開発チームは、敵の反応を出来るだけ真実味があり明確なものにしたかった。そのため開発チームは、敵にコミカルにならない程度のハッキリとした感情的な表情を与え、Exclamation Matrixと呼ばれる1万を超えるボイス・サンプルを実装中だという。これによって、ガード同士での状況に応じた会話がダイナミックに展開される事になる。プレーヤーの存在をお互いに知らせ、現在の状況などの情報を伝達していく。32人の声優が演じる台詞の組み合わせは、無限に近い。
オーディオといえば、このゲームはオーストラリアのソフトウェア会社によるFMODという最新のエンジンを使用。サウンドと音楽は既に5.1になっていて、Occlusion Techという技術を使っているため、オーディオは環境のオブジェクトに影響を受けるようになっている。瓦礫の背後にいる時に銃撃を受けると、その銃声は開かれた場所にいる時とでは変わったものになってくるのだ。これはハイファイなやり方だが、ロシアらしくローファイな工夫も同時に行われている。TimeShiftのサウンド降下の仕掛け人Pavel Grachev氏は、ゲーム内の様々な効果音をスタジオ内ではなく自己流のやり方で収録した。夜中に薬きょうをバスルームの床に落として完璧な音を録音したり(オフィスの階下には銃砲店があるのだ。冗談でなく。)、ちぎれた手足が地面に落ちる時の湿ったピシャッという音をオートミールを使って作り出したりしている。もしかしたら彼らにからかわれていたのかもしれないが、銃を持った連中に反論はしない。
あらゆる場面で、こうした音を聞くことになるだろう。TimeShiftには、Soldier of Fortune 2以来最も気味の悪い肉片が登場し、画面上には内臓の混じった血が飛び散る。敵はしょっちゅうバラバラになり、しかも綺麗に千切れるのではなく、腕の一部が胴体に付いたままで、撃つとリアルに揺れたりもするのだ。最高なのは、スローモーションで肉片をジャグリング出来るだけでなく、時間を巻き戻してバラバラになった体を元に戻す事まで出来るのだ。素晴らしい。
しかし、肉片は素晴らしいビジュアルの添え物に過ぎない。環境のディテールはとにかく豪華で、建設現場に転がる岩の破片やタイルが剥がれた天井の隙間に見えるパイプ、石膏が剥がれてレンガがむき出しになった壁などが詳細に描かれている。廃墟となった街を進んでいくと、ナチっぽさに満ちたKroneの本部の1つに辿り着く。手のひらに稲妻が交差したKroneのシンボルが描かれた真っ赤なたれ幕が壁にかかっている。Kroneの自画像が壁に飾られ、反対の壁にはコンクリート剥き出しの部屋のつくりとは対照的に豪勢なステンドグラスがある。
TimeShiftは10月30日に北米で発売となります。
[ソース: IGN]
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