2013年05月03日(金)21時16分

『Grand Theft Auto V』プレビュー - ストーリー性と自由度の両立

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『Grand Theft Auto V』の最新プレビュー記事がIGNに掲載されています。

  • 機種: PS3/Xbox 360
  • 開発: Rockstar North
  • 販売: Rockstar

『Red Dead Redemption』と『Grand Theft Auto 4』――そしてそれ以前の『Vice City』と『San Andreas』――において、Rockstarは矛盾するように感じる2つのエリアに注力し続けてきた。オープンワールドがもたらすゲームプレーの自由度と、物語とキャラクターがもたらす映画的なインパクトである。『Grand Theft Auto V』でRockstarは、その両方において新機軸に挑戦している。物語の面では、1人の主人公が3人に増え、ストーリーテリングのスケールという意味では映画よりも連続ドラマに近づいている。オープンワールド自体もこれまで以上に開かれており、都市部であろうと郊外であろうと、ディテールと生命に満ちている。

『Grand Theft Auto V』の最新デモを眺めていると、私はその世界に驚嘆させられた。Liberty Cityも大好きだったが、今思い返してみると、大抵はただ眺めているのが好きだったように思う。光り輝くビル群のなかで中に入れるのは500件のうち僅か1件ていど。『GTA V』のBlaine County上空をFranklinがパラシュート降下すると、川岸に水を飲みに来た鹿や山道を行くハイカー、釣りを楽しむ集団、山腹でレースを繰り広げるATVなどが目に入り、過去の『GTA』とは違って生き生きとした世界が眼下に広がっているのである。好きな場所に行けて、やることが散らばっているように感じられる。

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これが如実に表れているのが、水中のディテールの細かさだ。スキューバー装備を身に付けたTrevorが船からダイブした時、私はまばらな海草がユラユラしているだけのスカスカな光景を予想していた――サメの姿や海嶺、魚の群れ、フジツボで覆われた残骸、水面から差し込む太陽光など全くの予想外。サメの恐怖に打ち勝つことさえできれば、ちゃんと探索できるのである。文字通り財宝を求めて深海に潜っていくことが可能なのだ。Rockstarが作り出す世界にとって、大きな前進と言えるだろう。

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主人公が3人という構造も、Rockstarのストーリーテリングを大きく進化させるポテンシャルを秘めている。『GTA V』は今のところ『ザ・ソプラノズ』を髣髴とさせるが、それは中年の危機に陥ったリッチで惨めなギャングが主役だからというだけではない。『ザ・ソプラノズ』では、犯罪にまみれた人生と家族への愛情、ギャング人生からの脱却への願望と彼らを犯罪へと走らせる病んだ衝動の間に横たわる溝を描いている。『GTA』も過去にNico Bellicで同様のテーマーに挑んでいるが、それが成功したと見る者は多くなかった。

ガソリン・スタンドを破壊して喜んだりするプレーヤーが操るキャラクターと、カットシーンで見れるNicoとを同一人物として見なすことが難しかったのである。もし私がイザコザにウンザリしている元軍人で、より良い人生を求めてアメリカに渡って来たのなら、何故チンケなギャングのお使いをしているのか?根っこは良い人間だというなら、何故これほど多くの人間を殺しているのか?Nicoを悲劇的な人物として見ることで、私はNicoに共感しようと試みた。暴力しか知らずに生きてきた男が人間性を取り戻そうとアメリカにやってくるものの、どこに行こうが、その人間の本質は変わらないのである。彼が犯罪の道に引き戻されるのは、彼がそれしか知らない男だからなのだ。

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対照的に『GTA V』は、田舎者の異常者と金持ちで惨めな元ギャング、そして表面上はギャングから足を洗おうとしているものの、実際は強盗を遊びで続けようと考えている男の3人が主人公。この3人ならば、ストーリーテリング上の乖離は生じなさそうに思える。とはいえ嬉しいのは、Michaelと家族のやり取り(家族に嫌われている辺りはトニー・ソプラノに似ている)やFranklinの背景から察するに、『GTA V』はメッセージ性も排除していないように思えることだ。主人公が1人だと矛盾を感じるような行動も、3人に分散されることで矛盾が生じなくなっている。

たった一人のキャラクターの視点で50時間の物語を維持できる連続ドラマは殆どない。主人公を3人にすることによって、Rockstarは物語とゲームプレーのペース配分に柔軟性を持たせることが可能となった。カットシーンでは足を洗った元ギャングとして描かれるMichaelがギャングをバットで殴り殺すというのはしっくりこないが、ウィスキーをひっかけたTrevorなら?彼なら確かにやりそうだ。

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『Grand Theft Auto V』でRockstarは世界観とストーリーテリングの両方を進化させようとしているのは明らかだし、この2つが平行して機能するデモを見ると、本編への期待を高めずにはいられない。ビデオゲームというのは大抵、自由度や柔軟性を犠牲にした上でストーリーテリングを極めたゲームか、物語やキャラクターを犠牲にすることでゲーム性を追及したオープンワールド・ゲームのどちらかに特化することが多い。だが、『GTA V』の世界は極めて豊かに見えるし、3人の主人公という構造は、ビデオゲームが往々にして直面するストーリーテリング上の問題点の多くを解決するかも知れない。その両方を上手く両立させることができれば、画期的な偉業となるのは間違いないだろう。

[ソース: IGN]