2013年05月06日(月)16時18分

『Grand Theft Auto V』プレビュー - 細部へのこだわり

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『Grand Theft Auto V』のディテールへのこだわりにフォーカスを当てたプレビュー記事がIGNに掲載されています。

  • 機種: PS3/Xbox 360
  • 開発: Rockstar North
  • 販売: Rockstar

何よりも、『Grand Theft Auto V』はスケールについてのゲームだ。

物理的なマップのサイズの話だけではない。確かに、『GTA V』のマップは『Red Dead Redemption』の3.5倍という広大さで、『Red Dead Redemption』『GTA IV』『GTA: San Andreas』を合わせたよりも広いという。だが、『GTA V』は広いだけのゲームではない。

Rockstar Northの野心的なストーリーテリングへの新たなアプローチの話だけではない。確かに、主人公を1人から3人に増やしたことで、開発の複雑さは大幅に増しただろう。だが、『GTA V』は複数の主人公だけのゲームではない。

ミッションの話だけでもない。ミニゲームだけの話でもなければ、サイド・ミッションだけの話でもない。ベース・ジャンプ、ヒッチハイカー、ゴルフ、ATM強盗、トライアスロン、ハンティングだけの話ではない。それ以上のゲームなのだ。

むしろ、それら全ての総体だ。『GTA V』の巨大さは正にその言葉通りの意味であり、広大なサイズ、膨大なコンテンツ、壮大な野心が詰まったゲームなのである。

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『GTA IV』でも、まず驚嘆させられるのはその広大さと細部へのこだわりの共存だ。しかし『GTA V』では、その両方が大幅に改善されている。今回初公開されたデモでは、Los Santosを取り囲む郊外上空を旋回するヘリコプターのソリの部分に、主人公の1人Franklinが腰を掛けている。真下には、緩やかな丘を木々が埋め尽くしている。右手には、Alamo Seaを背にした広大な軍の基地があり、滑走路から輸送機が離陸する様子が目に入る。正面の遠くには、Los Santosの街並みがうっすらとその姿を横たわらせている。凄まじいスケール感だ。Rockstarの過去作は全て、『GTA V』の前ではちっぽけに見える。だが本作はただ巨大なだけでなく、生きているのだ。

Franklinがヘリからダイブし、数秒ほどしてからパラシュートを開き、Blaine County上空数百フィートを漂っていく。川と並行する道筋に着地する直前、Franklinが目をやると山猫が山肌を闊歩している様子が目に飛び込んでくる。草を食べる鹿やハイキング中のハイカー、RV周辺には釣り人の集団。レースを繰り広げるATV。デモ開始から数分しか経過していないにもかかわらず、Los Santosを取り囲む郊外に命を吹き込む方法を、Rockstar Northが傑作『Red Dead Redemption』から学んだであろうことは火を見るより明らかである。郊外はLos Santos市外ほど濃密ではないかも知れないが、『Red Dead Redemption』同様ディテールへのこだわりが凄まじく、どこを見ても命の兆しが感じ取れるのである。

操作キャラクターを切り替えても、驚異的なディテールはそのまま。ミッションとミッションの間であれば、いつでも操作キャラクターを切り替えることができる。Google Earth風の切り替え演出を挟むと、Franklinからはるか遠くの人気のないビーチにいるTrevorに視点が移る。ズボンとブーツだけを身に付けたTrevorはThe Lost MCと呼ばれるバイカー・ギャングに囲まれている。我々にとってだけでなく、Trevorにとっても事態を飲み込むのは無理だったはずだ。Trevorの胸には血が付いている。

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ゴムボート、もしくはZodiacという名称の付いたボートにTrevorが乗り込むと、颯爽と海へと繰り出していく。Rockstar Northが作り上げた全く新しい水システムが露になるのがこの場面で、正に驚異的としか形容の仕様がない出来である。ボートを揺らす大小様々な波は、波打つたびに白く泡立っている。大きめの波はZodiacのジャンプ台となり、次の波にボートを叩きつける。しばらくするとTrevorはエンジンを切り、ボートを停止させる。一部のボートにはスキューバーの装備が備え付けてあり、数秒後には黒いウェットスーツに身を包んで船べりに座るTrevorの姿があった。水中に広がる光景はゴージャスそのもので、太陽の光が水面から差し込み、魚の群れが泳ぎ、海底には何かの残骸が探索してくれと言わんばかりに横たわっている。石油プラットホームの残骸かも知れない。深く潜行するにつれ、辺りも暗くなっていく。だが、Trevorの心にサメへの恐れが芽生えたのか、一気に波間へと浮上した。

Trevorの行く末は不明ながら、ここで3人目の主人公であるMichaelへと切り替え。彼はVinewoodのホテルVon Crastenburg Hotelを発つところで、Vinewoodの大通りへと足を進めて行く。すると、Rockstarのただならむ細部へのこだわりが加速しだすのである。

『GTA V』版のハリウッドVinewoodは夜。歩道に星が並んでいる。青と黄色のタクシーが目の前でUターン。カー・ステレオが鳴り響く。元セレブ――名前をPamela Drakeというらしい――が、交差点で身の上話を通行人に聞かせようと必死になっている。大通りに立ち並ぶ背の低いビルやお店から突き出た色鮮やかなネオン・サインが、全てを明るく照らしている。

『LA Noire』が失われたLAにタイムスリップさせてくれるタイム・マシーンだとすれば、『GTA V』は僅かに歪んだ並行世界への窓だ。本物ハリウッド同様、Vinewoodもけばけばしく騒がしいが、徹底的に人の匂いがする街となっている。Rockstar Northはそこら中に人目を引くような物を詰め込んでいるが、現実の大都市には付き物のざらついた生々しさを忘れずに盛り込んでいる。

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ディテールへのこだわりは終わらない。観光客のミニバス――タイヤの付いた小さな人間水族館みたいなバス――が縁石に乗り上げた状態でアイドリングしている。このバスに乗って観光ツアーに出ることも可能だそうで、現地に住むセレブのゴシップ話を簡潔かつ『GTA』流に聞かせてくれるという。Michaelがぶらついているとタトゥー・パーラーの前を通りかかったが、ここでは自由に刺青を入れることができる。アバター・カスタマイズの再登場である。洋服を着替えることができるのは当然だが、髪型を変えることも可能だ。

Los Santosの人気観光地にたむろするコスプレーヤーの前で立ち止まったMichaelは、Republican Space Rangerの格好をした男の写真を携帯で撮影。携帯電話も、2008年の『GTA IV』からだいぶ進化した。Michaelの携帯電話「iFruit」がその進化を如実に表している。タッチ画面というだけでなく、そこからゲーム内のインターネットにアクセスすることも可能で、ソーシャル・ネットワーク機能などを利用することができるのだ。

Rockstar Northが作り上げた世界の奥深さを物語るのは、同じようなやり方でのデモ紹介が可能なゲームは殆ど存在しないというところだ。今回のデモの目玉は強盗シーンなのだが、まだ強盗シーンは至っていないどころか、殆ど何も起きていないに等しい状況なのである。歩いて泳いだだけ。にもかかわらず、『GTA V』の世界はあまりに生き生きとしていて、それだけでも完全に引き込まれてしまうのだ。これほど中身の詰まった世界が秘める可能性には、即座に圧倒されてしまう。世界全体がまるで巻ばねのようで、いじくった途端に爆発してしまいそうだ。

Rockstar Northの細部へのこだわりは、当然のような顔をしてそこに存在する。例えばVinewood Hillsに立ち並ぶ豪邸周辺の茂みに蝶々が飛んでいる必要などないし、飛んでいなくても誰も気付かないだろう。だが蝶々は当然のように存在するのである。層をどんどん重ねていくRockstarのこだわりは有名であり、しっかりと裏付けされている。

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そのこだわりは賞賛に値する。その広さが大幅に拡張されているにもかかわらず、Rockstar Gamesの世界を定義付ける一つ一つのディテールに、一切の妥協が存在しないように見えるのだ。

更に素晴らしいのは、『GTA V』のDNAそのものであるこのディテールへのこだわりが、目で見えるものだけでなく、聞くもの、すること、感じることにも当てはまることだ。

乗り物に乗っていない時や、ミッション中の劇的な場面などでオリジナル・スコアをBGMとして使用する方法は、『Red Dead Redemption』を思い起こさせる。そこにゲーム内ラジオが加わるのだから、『GTA V』はサウンド面でもスペシャルなゲームになりそうだ。

『GTA: San Andreas』以来となる車輌カスタマイズも、Rockstar自身の『Midnight Club: Los Angeles』で磨きをかけられての再登場。ペイントやタイヤといったビジュアル上のカスタマイズだけでなく、パフォーマンス・アップグレードによって愛車の馬力やハンドリングを大幅に改善することもできるようになっている。

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シューティングを改善するにあたり、Rockstarは『Max Payne 3』を参考にした。カバー・シューティングは改善され、敵に照準を合わせると色が白から赤へと変化する(その敵を倒すと照準が点滅する)。避け動作まで加わっており、Rockstarが「コンバット・ジョグ」と呼ぶ、走りながらエイミングを制御したまま腰溜めで撃ちまくれる能力まで備わっている(武器を構えた状態ではなく、武器を抜いた状態の速度で移動することができる)。

他のゲームの名前を出したのは、『GTA V』が単体で進化したのではないということを示すためだ。むしろ、『GTA V』の内部は、安定した質を誇る仲間がテスト済みの構成要素をふんだんに含んでいるのである。その凄まじいサイズと多種多様なゲームプレーを融合した本作は、正にスケールの巨大さを具現化したような内容だ。何年も熟成させるとこれほどのスケールになる。限界などどこ吹く風なゲームが生まれるのである。

出し惜しみ感のあるゲームを12ヶ月毎にリリースすることに力を入れつつあるゲーム業界とは対照的な存在が『Grand Theft Auto V』であり、その事実を私は極めて嬉しく思っている。

[ソース: IGN]