2014年03月20日(木)20時19分

BioWareデザイナーがビデオゲームに氾濫するステレオタイプ表現を批判

BioWare MontrealのデザイナーManveer Heir氏がGDCにて「女性差別、人種差別、同性愛嫌悪――ビデオゲームは今どこに?」と題した講演を行い、ビデオゲームで常用されるステレオタイプ(類型的)な表現を批判した。

Manveer Heir: 人種や性別、性的性向といった題材を、ステレオタイプな問題のあるやり方ではなく、ポジティブに扱いたいと思うなら、ゲーム全体の底上げが必要だ。私にとって、この業界で最も成長の可能性を秘めたエリアの一つだ。そこに私は物凄いポテンシャルを見出している。だが率直に言って、我々はその過程で多くの過ちを犯すだろうが、だからといって道筋が間違っているとは思わない。方向性を見据えて更なる努力を重ねる必要があるというだけなんだ。

Heir氏は、あくまで彼自身が良く知る欧米のゲーム開発の現状に限定した意見であると前置きした上で、非難合戦をしたいわけではないと強調。ステレオタイプなキャラクターが登場するからといって、そのゲームの開発者が差別主義者であるというわけでないと語り、業界全体の意識を高めることが目標であるとした。

評価や売り上げの高いゲームの殆どが白人男性を主人公にしている現状を取り上げ、女性や同性愛者、有色人種は、あくまで半裸の女性やなよなよしたゲイの男性、黒人の犯罪者といったステレオタイプなキャラクターとしてしか登場しないと指摘。同様の問題を抱えるメディア媒体はビデオゲームだけではないとしながらも、Heir氏はあらゆるクリエーターは人々への影響を考慮すべき社会的責任があるとしている。

Manveer Heir: ゲイの主人公や、男性のサポート役として以上の個性を持った、性的対象ではない女性主人公を受け入れるほど、ユーザーは賢くないと考えるのは極めてシニカルだと感じる。受け入れられた例なら、他のメディア媒体に沢山存在するんだ。

ステレオタイプを拒絶すべき理由は、それが手抜きだからというだけでなく、退屈だからだ。我々は、これまでに同じステレオタイプを用いたゲームを数え切れないほどプレーしてきた。同じ物語と同じキャラクターばかりで飽き飽きしているんだ。私と同じように感じている人も沢山いるよ。そのようなステレオタイプは、この業界の創造的停滞に貢献していると私は考えている。と同時に、私は人類への社会的責任として、ステレオタイプを拒絶すべきだと信じているんだ。

中世において女性は屈従的な存在であり、ファンタジーRPGでそのように描くのはリアリズムであるとして、ステレオタイプな女性像を擁護する一つの意見に対して、Heir氏はゲームはすべて「ファンタジー」であり、リアリズムは言い訳にならないとして一蹴している。

Manveer Heir: ステレオタイプを当然のこととすべきではないし、リアリズムを言い訳にすべきではない。殆どのゲームはリアリズムからは程遠いんだ。我々が作るゲームはファンタジーそのもので、それらを現実的と呼ぶなんて馬鹿げているなんてものじゃない。意義深いゲームを作りたいなら、潜在顧客層のかなりの部分を追いやりたくないなら、思春期で止まらず成熟した媒体として成功したいなら、リアリズムを言い訳にすることは止め、リアリズムを当然のこととしてではなく、責任を持って用いるべきだ。

有色人種や女性、同性愛者を主人公にしたゲームは売れないという根拠のない固定観念に対して、断固戦うべきだとHeir氏は開発者たちに呼びかける。

Manveer Heir: 我々ゲーム業界には、恐れを捨てて欲しい。プレーヤーの核となる体験を変化させるゲームを作ろうじゃないか。人種や性別、性的性向といった、現実世界に存在するあらゆる社会的不公正の源に対する、多数派と少数派の認識に挑む方法を見つけようじゃないか。論争を恐れず、我々の意図を率直にオープンにすべきだ。そこから生まれる新たな論説に、積極的に携わろうじゃないか。現在の我々のやり方は明らかに機能していないのだから。

しかし、この問題は言葉では解決しない。行動が解決してくれる。決意だけでなく、信念と少しばかりの勇気が解決してくれるんだ。より深みのある、自分にとって大切な作品を作るよう、開発チームに挑むことで解決する。君たち開発者が解決することだ。それが世界にインパクトを与える我々の能力であり、このアート・フォームを進歩させる方法だ。これが内外に挑戦を挑む我々のやり方だ。現在のゲーム業界のスタンスがどうあれ、ここにいる君たちが進んで変化の代表者になる限り、明日ははるかに改善されているはずだと、私は自信を持っている。君たちに心の準備ができていることを心から望む。私は準備万端だ!

[ソース: Games Industry]

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