2014年05月30日(金)18時34分

インディが指摘する大作主義の問題点「今はゲームに60ドルなんてクレージーという時代」

adrian-chmielarz.jpgAdrian Chmielarz氏

Adrian Chmielarz氏は、自ら設立に携わったPeople Can Flyを離れた後、インディ・スタジオThe Astronautsを立ち上げ、現在はホラー・タイトル『The Vanishing of Ethan Carter』を開発中。

Games Industryの取材に応じたChmielarz氏が、People Can Fly在籍時に手掛けた『Bulletstorm』の商業的失敗を振り返り、ビデオゲーム業界におけるビジネス・モデルの変容を語っている。

Adrian Chmielarz
今振り返ると誰もが賢明だったし、ゲーミングにおける大きな転換の最初の犠牲者の一人だったのかもしれない。中堅のトリプルAゲームが絶滅し始めた時期だよ。「中堅」といってもそれはクオリティのことではないが、あのゲームには10のマルチプレー・モードや協力プレーなどが含まれていなかった。現在業界で言われているのは、「60ドルでゲームを売りたければ、プレーヤーが200ドルに感じるゲームでなければならない」というものだ。

『Bulletstorm』は、60ドルの60ドル・ゲームだった。今は、ゲームに60ドルなんてクレージーという時代だ。文字通り何千という高品質のゲームがはるかに安い価格で――コンソールにすら――氾濫しているからね。2014年においては、ゲームに60ドルというのは少々狂っているということだ。

Chmielarz氏は低予算のホラー映画を例に挙げ、ゲーム業界が抱える大作主義の問題点を指摘する。

Adrian Chmielarz
『Dead Space』を見て欲しい。私は『Dead Space』の大ファンだし、本やコミックも全て読んだ。だがどういうわけか、200万から300万本を想定して適切な予算を組むのではなく、EAは『Call of Duty』級を目指した。500万売れなければ死んでしまうというレベルだ。あれは利益を生むシリーズにもなりえたのだが、そのためには予算やコンテンツに関して賢明になる必要があるんだよ。

映画スタジオは、成功を収めたホラー映画全てを『レイダース/失われたアーク』レベルの人気作に仕立て上げようとは決してしない。彼らは予算に極めて意識的で、『インシディアス』『死霊館』『MAMA』といった映画はどれも多大な利益を生んでいる。極めてプロフェッショナルだし、彼らは弁えているんだ。焦点を絞って巧みに利益を生み出している。『Dead Space』もそうあるべきだったんだ。

Chmielarz氏は『Red Dead Redemption』や『The Last of Us』、『Wolfenstein: The New Order』といったゲームを例に、トリプルAゲームにも革新性や独創性は存在するとした上で、問題は価格やボリュームに対する古臭い思い込みだとする。

Adrian Chmielarz
収集要素を付け足したり、敵のウェーブをもう一つ増やしたり、トリプルAゲームの場合は水増しする必要があるんだ。残念なことだし、この世界が狂っていることの証明でもある。ボリュームのあるゲームを要求するプレーヤーがいる一方で、データを見ると、ゲームを半分以上プレーするプレーヤーは半数以下しかいないんだ。明らかに何かが間違っているだろう?7割から8割のプレーヤーがクリアすらしないなんて狂っているよ。

しかし、私は価格が関係していると考えているし、そこで再び振り出しに戻るんだ。価格を下げることで、我々は水増ししようとは考えなくなり、体験をちゃんと仕上げることだけに集中できるようになる。一部のプレーヤーは何に対しても文句を言うという事実を受け入れる必要があるが、引き締まったゲームであれば、自分の思い通りに物語を語ることができていれば、20ユーロで100時間プレーできなかったと文句を言うプレーヤーよりもはるかにパワフルな効果を得ることができると考えている。

我々は『The Vanishing of Ethan Carter』で正にそれを実践しているんだ。

[ソース: Games Industry]

最新記事