2015年03月21日(土)11時50分

欧米のモバイル業界から見た任天堂のモバイル進出

nintendo-dena.jpg

今週、DeNAとの資本提携を発表し、モバイル市場への参入を明らかにした任天堂。大きな驚きを持って迎えられた今回の発表を、既にモバイル業界で活躍する欧米のパブリッシャー/デベロッパーはどう見たのだろうか。Games Industryが話を聞いている。

Kristian Segerstrale (Super Evil Megacorp、最高執行責任者)
マス・マーケットのタッチ画面を主要なゲーミング・デバイスとして捉えるコア・ゲームのデベロッパーが増えるのは、とても嬉しいことだ。我々は大の任天堂ファンで、モバイルでも成功して欲しいと思っているよ!トリプルAデベロッパーの参入が増えることでクオリティの基準が上がるため、プレーヤーだけでなく業界にとっても恩恵があるだろう。任天堂にとっては、ファン層を大きく拡大するチャンスであると同時に、そのブランドやゲーム内体験をモバイルやタブレットに移行させる大きな挑戦になるだろう。

Teemu Maki Patola (Frogmind、最高執行責任者)
任天堂は、モバイル・ゲーミングに適した強力なIPを数多く所有している。同時に、優れたゲーム・デザインを生み出す術を知り尽くしている。それに、どうやら戦略的にもモバイル・ゲーミングに参入する必要があると気付いたように見える。DeNAはモバイルのヒット作を生み出してきた実績があるし、成功するF2Pゲームの作り方を知り尽くしている。データ分析やF2Pビジネス・インテリジェンスの豊富なノウハウがあるね。この提携で、任天堂は数年を節約できるだろうと思う。F2Pについて研究する必要がなくなり、DeNAの知識に頼ることができる。この提携を成功させるには、お互いの株を買い取ることで一方の成功が両社の相互利益になるような、密接な戦略的提携が不可欠だろう。

Jesse Divnich (Tilting Point、製品調査部長)
任天堂の株価が25%上昇したことが、投資家の圧倒的な肯定的反応を要約している。任天堂とDeNAの提携は、モバイルやタブレットがインタラクティブ・エンターテイメントの真っ当なアウトレットだと任天堂が受け入れたことになる。この提携によって、任天堂は自らの中核事業を中断することなく、爆発的なモバイル部門に参入することが可能となった。我々はこれまでにも、数え切れないほどの倒産、スタジオや技術買収への過剰投資など、巨大な組織が自分たちで舵を取ろうとして大失敗する様を目にしてきた。自社IPを他のゲーム業界に持ち込むにあたり、任天堂は最も容易な道筋を選択するという賢明な判断をした。より重要なのは、これはかつて任天堂が支配していた客層を取り戻すチャンスであるということだ。子供へのクリスマス・プレゼントを見ても、任天堂の携帯機よりiPad Miniの方が多い。子供たちにとっては、マリオよりも『Minecraft』のCreeperの方が有名な時代なんだ。

Kent Wakeford (Kabam、最高執行責任者)
任天堂のモバイル進出は、モバイル・ゲーム市場の急成長を改めて確認するものだ。我々がポケットの中に忍ばせているデバイスは、コンソールに匹敵する処理能力を備えている。モバイル・ゲームは、いつでも好き時、好きな場所で、好きなようにプレーすることができる。超一流のコンソール・クオリティのゲームプレーを備えた人気IPを提供する会社が勝利者となるはずだ。モバイル・デバイスを戦場とする消費者の心を勝ち取る戦いに、任天堂を喜んで迎え入れるよ。

Michael A. Hoyos (Space Rhino Games、社長)
ここ数年の任天堂は、業界全体から遅れを取ってきた。彼らは、困難な時期を乗り切るにあたり、自社IPの強みに依存していた――長続きするやり方ではないし、彼らのハードウェア市場が大幅に縮小していることを考えれば尚更だが、そのIPを延命したやり方でもある。だが任天堂は、フリーフォールの最中にジェットパックを具現化する超人的能力を備えている。Wiiとモーションセンサー操作を生んだこともそうだし、私はまたやってくれると信じている。DeNAとの提携は、小さな人間がもう1人の小さな人間の方に乗っかり、デカい人間の顔面を殴るようなもの。DeNAや任天堂が小さいというわけではないが、それぞれの市場を牽引する存在ではなくなっているのは事実だろう。任天堂とDeNAの同盟は、モバイルを支配することが目的だ。今から一年後、我々は「奴らが帰ってきた!」と言っているだろうね。

Samuel Coster (Butterscotch Shenanigans、共同創設者)
モバイル・ゲームと任天堂にとって大きなことだ――モバイルに本格進出していなかった眠れる巨人のようだ。我々が最も興味深く見守っているのは、任天堂がモバイル市場の課金構造にどう取り組むのかという点だ。市場のF2P体系を拒み、プレミアム体験を選択するのか、それともモバイル全開でトゲゾーこうらに課金をするのか?任天堂の存在がゲーマーにとって大きな利益になるのは確かだが、市場自体への影響(があるとすれば)はまだはっきりしない。

Michael Agustin (Weaver Labs、最高経営責任者)
任天堂の投資とDeNAとの提携によって、任天堂は投資家を満足させつつ、モバイル市場で実験する手段を手に入れたことになる――DeNAにとっても、Zyngaの真似っ子モデルから抜け出し、著名ブランドを用いた高品質のゲーム・デザインへ移行するチャンスとなるだろう。

Nancy Lu (『Piiig Inc』、クリエーター)
任天堂は、Supercellのようなモバイル・ゲーム界の新たな巨人になるだろう。確立されたブランド・ネームとAppleからのサポートによって、可視性の獲得には何の問題もないはずだ。腹立たしいのは、彼らも同様のF2P戦略を採用して、バーチャル・グッズで小銭稼ぎをするだろうという点だ。コンソールで『マリオ』を楽しみながら成長した我々にとって、ゲームのプレー・スタイルを悪い方に変えてしまうだろう。昔からのファンをイライラさせないためにも、課金戦略に関しては慎重に考慮してくれることを願っている。ちゃんとやれば、コンソールからモバイルという新たな潮流を生み出せるはずだ。

Dominic Hamelin-Blais (『Bunnies’ Empire』、クリエーター)
フリーミアム・ゲームにおけるDeNAの実績を考慮すると、任天堂IPのF2Pゲームを期待できるだろう。任天堂の高品質基準と、DeNAの課金に関するノウハウのコラボレーションは興味深い。任天堂は決して革新を恐れない会社だ。モバイル空間は変化し続けているし、影響力も大きい。短時間でのプレーを導入した『Flappy Bird』が良い例だろう。無数のゲームが同様のモデルを採用して成功を収めている。任天堂とDeNAは現在注目の的だ。モバイル・ゲーミング空間の将来に、とてつもなく大きな影響を及ぼす可能性がある。

Ahmed Bukhatir (Woweez、最高経営責任者)
私は1985年以来の任天堂ファンで、これまでもずっと任天堂のゲームをプレーする手段が増えてくれたら嬉しいと感じてきた。マリオがスマートフォンにやって来ると知った時の私の興奮は、筆舌に尽くし難い。自社タイトルを他のプラットフォームに開放すると決めない限り、任天堂のオリジナル・タイトルが全てNXデバイス独占になる可能性は高そうだが、開放すればモバイル・ゲーム業界でより強固な地歩を築くことができるだろう。しかしながら、殆どの大手ゲーム開発会社がモバイルに参入していることを考えると、任天堂もそうすべきだ。『ゼルダ』をスマホでプレーしているところを想像してほしい。それこそ夢の実現だよ。

Andras Velvart (SongArc Kft、最高経営責任者)
任天堂がゲーム業界で最高に競争の激しい市場へ参入したことは興味深い。任天堂には間違いなく、大きな波風を起こすだけのIPと経験がある。

ソース: Games Industry

カテゴリ: 業界 タグ: -

最新記事