2015年11月21日(土)09時48分

【コラム】死に絶えつつあるFPSのシングルプレー・キャンペーン

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1人称シューター(FPS)というジャンルでは、年々シングルプレー・キャンペーンの存在感が低下し続けている。こうした傾向に懸念を寄せるIGNが、コラムを掲載している。

『Star Wars Battlefront』、『Rainbow Six: Siege』、『Evolve』、『Titanfall』。今世代で大きな注目を集める1人称シューターであるという以外にも、これらのゲームは不安を誘う特徴を共有している――物語主導型のシングルプレー・キャンペーンが完全に欠落していることだ。

これは決して明るい傾向ではないし、極めて勿体無いことでもある。

『Titanfall』に、その素晴らしいウォール・ランやTitan召喚メカニックを度肝を抜くやり方で見せ付ける、殿堂入りに相応しい『Call of Duty 4』キャンペーンを作り上げたのと同じコア・メンバーが手掛けた6時間から8時間のキャンペーンがあったら、どれほど嬉しかったか。それに我々の中には、豊かなゲーム・ユニバースという背景がないと、ゲーム・メカニックがどれだけ強固でも意味がないと感じる者もいるのである。私は、良くも悪くも、オンライン上で他の人間の相手をせずに済む、ゲーム・メカニックを中心に構築された物語主導型体験が欲しいのだ。そう、優れた本のように。

例えば『Destiny』は、メカニック的には素晴らしい出来栄えだが、その物語はというと、ロンチ時には悲惨な出来だった。引き込まれる物語という土台の欠落がその素晴らしいゲームプレーの足を引っ張っており、卓越したRaidコンテンツに辿り着く過程が、どう考えても単なる苦行に終わってしまった。しかしながら、開発元Bungieを擁護するなら、彼らはそれからの1年で不安定な土台を見事に補修してくれた。

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キャンペーンを切り捨てるか、そもそも実装しないFPSフランチャイズが増え続けている。事実、現役バリバリの1人称シューター・シリーズの中では、『Halo』『Far Cry』『Battlefield』が、充実したマルチプレー要素と本格的なキャンペーン(そのクオリティは要点ではない)の両方を、一貫して提供し続けている。『Call of Duty』もリストに加えるべきとする向きもあるかもしれないが、『Black Ops III』の旧世代機版はキャンペーンを切り捨てている(価格も僅か10ドル安いだけだ)。穿った見方をすれば――Activisionが自社フランチャイズで「ゼロか100か」というビジネス・モデルを追及してきたことと、先日eSports部門を設立したことは言うまでもない――旧世代機版『Black Ops III』はテストなのではないか。旧世代機の消費者がそれでもこぞって買い求めるようであれば、『Call of Duty』は将来的に全てのプラットフォームでシングルプレーを切り捨てることになるかもしれない。

キャンペーンを切り捨てることは、デベロッパーにとってリスクが伴う。だが残念ながら、こうした傾向の主な要因は、最も明白な理由、つまりお金だろう。デベロッパーがキャンペーンを毛嫌いしていたり、我々に嫌がらせをしようとしているわけではないのだ。まともなキャンペーンの開発はコストを食う。お金だけでなく、時間もだ。開発期間を1年延長するにしろ、開発チームの人員を倍にするにしろ、キャンペーンは殆どのプレーヤーが一度しか体験しないにもかかわらず、莫大なコストがかかる。一方、同じ期間で作られたマルチプレー・マップは何度も何度もプレーされる。

しかしながら、全ての希望が潰えたわけではない。Take-Twoの最高経営責任者Strauss Zelnick氏は、ちゃんとしたキャンペーンを実装せずに『Evolve』を発売したのは間違いだったと認めている。

Strauss Zelnick
強力なシングルプレーの機会を提供する必要があるという教訓を学んだと考えている。しかし、『Evolve』に関しては承知の上だった。我々は新たな永続的IPを生み出したと考えている。だが何か欠けていたとすれば、最初から承知していたように、少々マルチプレーに重点を置き過ぎていたかもしれない。

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将来、私の考えが時代遅れだと証明されることになるかもしれない。パブリッシャーとデベロッパーには、我々がプレーするゲームやその遊び方に関する広範囲なデータがある。オンラインに接続された各プレーヤーが、キャンペーンで具体的にどこまで進んだか、何周したのか、特定のボス戦で何回死んだのか、といったデータだ。もしかしたら私は、私好みの遊び方を超えた真価を遂げたジャンルのファン、ただの恐竜なのかもしれない。だが、そうは思えない。開発費の高騰がデベロッパーやパブリッシャーに選択を強いているのかもしれない。前述したようなマルチプレー・オンリーのゲームと、『Deus Ex: Mankind Divided』のようなシングルプレー・オンリーのゲームに分断されるのかもしれない。このような究極の選択が、このジャンルの未来にならないことを願っている。

だが最終的には、殆どの1人称シューターが面白い物語の構築に注意を払うのを止めてしまったら、我々は良き何かを失ってしまうことになる。そして、彼らは私を失うのだ。

ソース: IGN