『ベルセルク無双』海外レビュー
欧米でこの2月に発売された『ベルセルク無双』の海外レビューです。
- ジャンル:アクション
- 機種:PS4/PS3/Vita
- 開発:オメガフォース
- 販売:コーエーテクモゲームス
・見事にゲーム化された物語
・新鮮で多彩なミッション
・驚くほど深みのある戦闘
・美しいビジュアル
悪い点:
・忙しい戦闘中の日本語音声
・古臭く見える借りてきたカットシーン
私が思うに、『ベルセルク無双』は『無双』ゲームの頂点だ。オメガフォースとコーエーテクモはこのフォーミュラで実験を繰り返してきたが、これまでに学んできたこと全てが本作に活かされている。『ベルセルク無双』は、『無双』ゲームが長年に亘って提供し続けてきた、中毒性のあるぶっ飛んだハック&スラッシュ戦闘を提供してくれる。『無双』ゲームに最近導入され始めたユニークなキャラクターたちや多彩なミッション構造も提供してくれる。それに加え、これまでの『無双』ではお目にかかることのできなかった、引き込まれる、成熟した極上の物語を提供してくれるのだ。
・綿密なストーリー・モード
・豊富なコンテンツを収録した長いゲーム
・とても楽しいゲームプレー
悪い点:
・N64級のカメラ
・理不尽さ、粗削り
・単調なゲームプレー
『ベルセルク』の物語を体験する最良の手段ではないものの、『ベルセルク無双』の物語自体は極めて綿密で、初めて体験するのに最適だろう。最近のアニメ映画が原作となっているとはいえ、オリジナルのアニメ・シリーズのペース配分で、鷹の団での成り上がりを体験することができる。チューダー軍の色彩豊かな動物たちと戦うことができるのは嬉しいし、黒い剣士として描き込まれるガッツの時間を持てるのもエキサイティングだ。バグはあるものの、『ベルセルク』のファン、『無双』のファン、そしてそのどちらかに興味のある人全てがプレーすべきゲームである。
・『無双』のテンプレにフィット
・カットシーンとプレゼンテーションが味わいと深みを加味
・『ベルセルク』初心者にキャラクターたちを紹介する物語
悪い点:
・所詮『無双』に過ぎない
・改善の余地のあるボス戦
・使い回しの面白くないレベル・デザイン
『ベルセルク無双』はこれまでで最も出来の良い『無双』の一つというだけでなく、『無双』に問題なくフィットしている初めての版権だ。
・最高の物語
・楽しい戦闘
悪い点:
・物足りないグラフィック
・単調になってくる
『ベルセルク無双』は、『無双』ゲームとしては疑いようもないほど楽しめる。『ベルセルク』フランチャイズは『無双』スタイルにとてもうまくハマっており、『ベルセルク』の物語がこのジャンルに欠けがちな深みやボリュームを加えている。『無双』ゲームの近作に定番フランチャイズを使用するというオメガフォースとコーエーテクモゲームスの決断は賢明で、『ベルセルク』は最新コラボ相手としては最高の選択だろう。革新性とは無縁だが、『無双』シリーズか『ベルセルク』フランチャイズどちらかのファンであれば、間違いなく『ベルセルク無双』を楽しめるはずだ。
・ハック&スラッシュ、コンボ繋ぎ戦闘の頂点
・長寿シリーズを忠実に再現
・ユニークな技構成を持つ楽しいキャラクターたち
悪い点:
・映画からそのまま持ってきた、アニメーションが酷いカットシーン
・キャラクター・ロースターが薄い
・大人向けコンテンツの編集チョイスが奇妙
『ベルセルク無双』は、その原作と同じく万人向けではないが、多くの欠点の下には手堅いコア戦闘システムと、長寿漫画を巧みに『無双』構造に落とし込んだ最高のキャンペーン・モードが眠っている。
例えば、『るろうに剣心』のような。コーエーテクモよ、作りたいんだろう?
・原作に忠実なキャラクター・レンダリング
・ファンに人気のキャラクターがてんこ盛り
悪い点:
・極めて単調
・酷いカメラ
・水増しが酷い
『ベルセルク』は傑作にもなりえたが、平凡で単調なゲームに落ち着いている。もう少し練り上げていればスペシャルなゲームになっていたかもしれない。
『ベルセルク』アクションやハック&スラッシュを喉から手が出るほど渇望している人は、ありのままのコンテンツをふんだんに楽しめるだろうが、結局は飾り気のないコンテンツが山盛りになっているだけである。必携のゲームには程遠いので、買っても買わなくても問題ないだろう。
・『ベルセルク』の世界への充実した入門編としてのストーリー・モード
・各ミッションをしっかり構成するカットシーン
悪い点:
・人気漫画の無駄使い
・『無双』スタイル・ゲームプレーの最も浅薄な形
・長持ちしないオマケ・モード
血に飢えたガッツや戦闘体験が『無双』の群衆バトルや大量虐殺に適していることを考えると、オメガフォースの他の作品に見られる繊細さや魅力がこのタイインには欠けているのが残念だ。『ベルセルク』フランチャイズの複数のストーリーラインの丁寧な総集編として機能する、ボリューム満点のキャンペーンが救世主となっている。そうした細部を捉えたカットシーンのお陰で、本作のハック&スラッシュ戦闘は水準は満たしているが引き込まれる魅力に欠けているにもかかわらず、ガッツを一本調子の主人公にせずに済んでいる。『Dark Souls』級の充実した近接戦闘は期待できないことを十分承知している『無双』ファンにとっても、『ベルセルク無双』にはガッツの野蛮さから連想するような美味しい光景や音が欠けている。敵を殺すたびに舞い上がる赤い飛沫は、決して「ゴア」とは呼べないのだ。
・期待通り残酷で力強いガッツ
・数こそ少ないが、バラエティ豊富なプレーアブル・キャラクターたち
・最高に楽しい物語の追体験
・非常に綺麗
悪い点:
・無難すぎるように感じられることも
・『無双』ゲームに慣れていないと極めて単調
・チープで練り不足のボス戦
『ベルセルク無双』は、漫画やアニメのファンが楽しめる豊かな物語を提供してくれる。しかし、プレー感覚自体は各キャラクターの違いを捉えているものの、原作の魂が感じられないのが残念だ。オメガフォースは過去に正にそれをやってのけたことがあるし、人気シリーズに命を吹き込む新たな機会でもあっただけに、とても残念である。それでも、『ベルセルク』のファンなら、素通りするのは難しいかもしれない。ゆっくりとではあるが、漫画もようやく話が進み始めたし、本作の物語も話が次の段階に進むまでの繋ぎになるだろう。とはいえ、試してみたい『無双』ゲームを探しているだけなら、より優れた選択肢が他にある。