【E3 09】 Splinter Cell: Conviction プレビュー
2年前、一度は公開されながらも、これまでのSplinter Cellから大きく変わった姿がファンの不評を買ったSplinter Cell: Conviction。その後度重なる延期を繰り返し、1日に行われたE3 Microsoftカンファレンスにて、遂に姿を表した新生Sam Fisher。IGNの最新プレビューを。
2年前、UbisoftはSplinter Cell: Convictionを公開した。そして、最高のスパイのスキルで姿を消した。そして、Sam Fisherが今度はショットガンを手に帰ってきた。
Convictionについての僅かな知識は忘れて欲しい。そのままなのは、オリジナル・コンセプトの技術だけ。それ以外のゲームプレー要素は、全て刷新された。むしろ、Splinter Cell全般に関する知識を捨てて欲しい。Convictionは、シリーズの真の進化なのだ。Splinter Cellフランチャイズの主題はそのままに、Ubisoftは認識できないレベルにまでゲームプレーを再定義している。
Splinter Cell: Double Agentの冒頭で娘を殺されたSam Fisherは、娘殺しの犯人を追うために政府機関Third Echelonと決別。耳元で指示を出す者はもういない。その結果、Sam Fisherはこれまでになく残虐な人物となった。血がどうこうというゲームではなく(それでもたくさんあるが)、残虐性はConvictionの新たなゲームプレー・メカニックの副産物なのだ。
殆どのスパイ物ゲームでは、ステルスは実際のところ制限だ。使わざるを得ないから使うのだ。最強のはずの主人公は、暗闇にいないと驚くほど弱いからだ。Splinter Cellでは、そのせいでトライ&エラーのゲームになっていて、それはそれで魅力的ではあるが、時にテンポが遅く単調だ。Convictionでは、古臭いステルス・システムはゴミ箱行き。Sam Fisherはハンターであり、獲物よりも遥かに優位に立っている。闇を忍び寄り、タイミングを計り、恐ろしいほどの速度と獰猛さで襲い掛かるのだ。Convictionにおけるゲームプレーの変更は、TVドラマ「24」のジャック・バウアーから大きく影響を受けているのは明らかだろう。「24」でジャック・バウアーは、ステルスを使って建物に侵入する。敵を発見すると、人数を数え、一息付いてから飛び出して一瞬で敵を殲滅する。テロリストが情報を持っているなら、痛めつける事も厭わない。これこそ、決してひるまない新生Sam Fisherなのだ。
Splinter Cell: Convictionの成否は、新たに導入されたマーク&エクセキュート(印を付け、実行する)メカニックにかかっている。シリーズの新たな哲学であるハンティングの核心部分だ。見た目と同じように凄いプレーが出来れば、Ubisoftは真の勝者となる。もし駄目なら、少なくともSam Fisherにとっては最高の送別会になるだろう。
いつでもFisherは、敵やライト、トラップや爆発物といった目標にマークを付ける事が出来る。装備した武器の種類によって、マークの上限数は変わるようになっている。目標の頭上に表示されるマークは、Samが直接攻撃出来る位置かどうかによって、赤と白に色分けされる。マークが赤くなったら、エクセキュート・ボタンを押せば、遮蔽物から飛び出して攻撃出来るのだ。敵の数を数え、何をすべきかも分かっている。マークが赤くなった瞬間、目標は確実に沈む。
もし目標が障害物の背後に隠れ、マークが白くなった時にエクセキュートすると、Samは銃を抜くが発砲はしない。つまり、自分で実際に引き金を引くわけではないが、それでもタイミングを図るのが重要なのだ。SamのAIも、優先順位を変更出来るようプログラムされている。複数の敵の頭上にあるシャンデリアにマークを付け、若干シャンデリアからはみ出ている敵にもマークを付けると、Samはまずシャンデリアを撃ち抜いて敵に最大限のダメージを与える。生き残った敵がいれば、その敵を次に倒すのだ。
Sam Fisherのような人間の状況判断力を生かせるほど、AIは賢く出来ているという。2つのライトとテロリストにマークを付けたとしよう。Samはまず、有利な状況を作り出すためにライトを撃ち抜く。通常は2つ目のライトを撃つのだが、テロリストが振り返って銃を抜いた場合、Samは優先順位を変更して敵を即座に攻撃するのだ。
Ubisoftがマーク&エクセキュートに切り替えたのは、過去のSplinter Cellでの経験が主な理由だ。これまでは、暗闇から飛び出し、ゆっくりと照準を最初の敵に合わせ、発砲。そして次の敵に照準を移動させる。結果的に複数の敵を倒せるが、非常にゆっくりとしたヒーローと、本能的というよりも理路整然としたゲームプレーになっていた。
E3デモで明らかとなったのは、マーク&エクセキュートのみに頼らなければいけない状況には滅多にならないという事。一度のエクセキュートでは倒しきれないほど敵が多いのだ。そこで、どの敵を真っ先に倒すべきかを見極める戦略が求められる。私の最初の懸念は、マーク&エクセキュートがSplinter Cellからスキルを奪い去ってしまうのではないか、というものだったが、実際に見てみると、マーク&エクセキュートはこれまでのSplinter Cellとはまた違った、別の種類のスキルが求められるようになっていた。それに、エクセキュート動作のビジュアルは、とにかくぶったまげる出来だ。Sam Fisherを最強の男に見せる事が目的なのだとしたら、E3デモは大成功だろう。
マーク&エクセキュートには、もう1つ戦術的要素がある。武器ごとの特性があるのだ。ピストルはマークを2つ付けれる一方、マシンガンはもっと多くのマーク付けが可能。ショットガンは、壁やドア越しにでも赤マークを付ける事が出来るのだ。ピストルの場合はドアを蹴破らないと敵を撃つ事は出来ないが、ショットガンの場合はドアごと敵を吹き飛ばせる。
マーク&エクセキュートは、確かにSplinter Cellフランチャイズに加わった最も重要な新ゲームプレー要素だが、決して唯一の新要素というわけではない。ステルス要素にも手が加えられている。多くのステルス・ゲームでは、主人公の動きは遅く、暗闇をこっそりと歩きながら、敵に見つからないよう祈る事になる。これまでのSplinter Cellでは、視覚と聴覚のメーターを個別に用意するところまで複雑化したが、本作は新生Sam Fisherだ。まるで豹のように動きは敏捷で静か。古臭いメーターはおさらばだ。
Samが暗闇にいる時、画面は白黒に近くなる。敵と干渉可能なオブジェクトだけに色が付いている状態だ。画面の隅は黒くなり、Samが敵から視認出来る状態になると、画面がフルカラーに戻るわけだ。Convictionはこれまでの作品よりもテンポの速いゲームなので、これは重要な変更だ。メーターをわざわざ見て、敵から見える状態かどうかチェックする暇はないのだ。これで、敵から見えているかどうか間違える心配はなくなる。
Ubisoftは、Sam Fisherには失うものは何もなく、時間を無駄にしないという人物像を作り上げた。その結果がテンポの早いゲームプレーだが、同時に敵の死体を残そうが気にしないという事にもなる。Samにとってはこれが終点で、この最後のミッションを終わらせなければならない。明日など存在しないのだから、ゴーグルも、死体を処分して身元を隠す必要もないわけだ。そう、もう死体を引きずって隠す必要がないのだ。
暗闇にいるからといって、何でもありなわけではない。暗闇から発砲して外してしまうと、敵に居場所がバレてしまうだろう。だが、それこそ望むところかもしれない。もう1つ追加されたゲームプレー・メカニックがあるのだ。それがラスト・ノウン・ポジション、通称LKP。その名の通り、敵が最後にSamを見た場所が、白いシルエットで表示される。
これで、敵がどこに注目しているかが分かった。次は、それを利用して罠を仕掛けたり、裏に回り込んだりする事になる。ゲームの序盤、雑魚たちを相手にする時、このLKPは最高の道具になる。序盤の敵は動きが読みやすく、色々と遊べるそうだ。だが敵の質が上がるにつれ(最終的にはThird Echelonの特殊工作員が相手になる)、難易度も上がっていく。こうした手強い敵の視線をかく乱し、シルエットが表示されると、まるで「良くやった」と言われているかのよう。その後は、シルエットの足元にグレネードを転がしてやれば良いのだ。賢い敵は、窓の外を見て懐中電灯でパイプを見たりもする。
Ubisoftは、Convictionに行き止まりは必要ないと考えている。常に脱出ルートが確保されているのだ。それは窓の外かもしれないし(もしくは、敵を窓の外に放り投げて後を追ってもいい)、パイプや壁を登ったりする事かもしれない。Samの頭には今まで以上に白髪が増えているかもしれないが、肉体的にも今がピーク。暗闇を素早く(そして静かに)移動し、Prince of Persiaよりも速く縁から縁へと動き、肉食獣のように敵に接近する。これがUbisoftが考える新ステルスで、Sam Fisherは常に暗闇を出入りし、決して部屋の隅にじっとしている事はないのだ。
より獰猛なSam Fisherを作り上げるため、Ubisoftは格闘の能力を改善する必要がある事を充分承知していた。肘打ちやナイフ以外、これまでのSamは格闘に関しては今一つだった。新生Samは、イスラエル軍の正式な護身術であるクラヴマガを使うのだ。結果が方法を正当化するという哲学のマーシャル・アーツで、素早くパワフルで、ショッキングなほど残虐。マーク&エクセキュートによる戦闘と同じくらいスピード感のある近接戦闘になっていて、全てがボタン一つでまかなわれているのだ。
敵の腕をへし折り、頭突きをかまし、一息で敵を地面に這いつくばらせてしまう。見ているだけで爽快だ。アニメーションは今後も数多く追加されるとの事なので、E3デモでは限られた動作しか見る事が出来ないが、全ての動作は状況依存で発動する。攻撃する際にスティックで方向を押せば、攻撃を修正する事が出来るようになっていて、どの方向に狙いを定めるかによって、敵を放り投げるか、周辺環境に叩きつけるかが決定される。デモのある時点では、Samが敵の手首を掴んで腕を折り、壁に頭を叩きつけていた。敵が地面に崩れ落ちると、煉瓦に大量の血が残される。
こうした肉体的要素が、特殊な尋問シーンに役立っている。痛めつける事で情報を引き出す事が出来る敵が存在し、デモはそうしたシーンでドラマチックに幕を開ける。Samが便器に敵を投げ付け、敵の武器を奪った瞬間から、後はプレーヤーの思うがまま。頭を叩きつけ、トイレのドアに放り投げ、頭で鏡を割り、洗面台に投げ付ける。とにかく好き放題だ。最終的に口を割るだろう。喋る前に間違って殺してしまう事はないし、手早く白状させる方法もない。ただ、白状するまでボコボコにするだけ。楽しそうだ。
現在判明しているゲームプレーの変更点は以上。だが、Splinter Cell: Convictionにはもう1つ、凄い要素がある。Ubisoftは光投影技術を開発し、それにより格好良い演出が可能になった。基本的に、まるでプロジェクターが第4の壁を通して光っているかのように、ゲーム上に映画を上映するのだ。キャラクターやオブジェクトが映像の上に移動してくると、本物のプロジェクターのようにムービーもその上に映し出されるのだ。光は完全にダイナミックなので、布の上に映し出された映像は、折り目や動きをしっかりとフォローする。
これの何が凄いのかというと、Samは1人きりで誰も耳元でガイドしてくれる人間はいないという事を思い出して欲しい。そこで、この投影技術が目標を表示するのに上手く使われているのだ。E3デモでは、Samは娘を殺したKobinという男を捜しにマンションに入らねばならない。通りを歩きながら目をやると、目標となる建物に「マンションに侵入せよ」という文字が映し出されるのだ。建物内を進んでいくと、「Sarahを殺した男を追え」とガラスに映し出されるし、進入した場所には周辺環境の一部に名前が表示される事でマークが付くようになっている。更に、フラッシュバックや重要なシーンは壁にムービーが流れるのだ。極めてクールな演出で、実際に見てもらわないと凄さは分からないだろう。幸運な事に、この技術が見る事が出来るビデオはたくさんある。
2年前、UbisoftがSplinter Cell: Convictionを延期した時は、別に驚かなかった。それほどエキサイティングに見えなかったし、技術はクールだったが、ゲームプレーは平凡に見えたのだ。Ubisoftが辛い決断を下してくれて本当に良かったと思う。新生Convictionは、この秋のエキサイティングな期待作となった。演出は最高級だし、マーク&エクセキュートのゲームプレーは凄まじいし、素手での戦闘は目を見張る出来だ。E3には見るべきゲームが数多くあるが、現時点ではSplinter Cell: Convictionが今年最高の期待作となった。
[ソース: IGN]

最新記事
【デジタル販売】 北米Xbox Live Points (1600point) Play-Asia.comにて



