2010年01月24日(日)07時01分

Darwinia+ インタビュー

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Uplink、Defconといった独創的な作品が高い評価を受けるイギリスの独立系開発会社Introversion Software。同社の代表作であり、初のゲーム機版となるDarwinia+に関して、IntroversionのMark Morris氏がCVGのインタビューに応えています。

▼ Darwinia+は永遠に開発が続いているような感じですが、現時点までの経緯を教えてもらえますか?

Mark Morris: 実は、Xbox Liveアーケードが発表される前から、Darwiniaの移植に関してMicrosoftと話をしていたんだ。我々の予定では、PC版を素早くXbox Liveアーケードに移植するはずだった。6ヶ月くらいでね。

Microsoftは少々ためらっていたが、その夜に我々はIGF(インディ・ゲーム・フェスティバル)アワードで幾つかの賞を受賞したんだ。文字通り我々がステージから降りてきたところに、当時Microsoftの重役だったRoss Ericksonがいて、「オーケー、受けよう」と言って来たんだ。その時は酔っ払っていてどうでも良かったんだけどね!

その後我々が技術的な作業に取り掛かると、Microsoftは「マルチプレーを入れてくれ。XBLAで配信するにはマルチプレーが要る」と言って来た。Darwiniaは当初、巨大なマルチプレー戦争ゲームだったんだ。オリジナルのコンセプトはね。そこでまた「シンプルにマルチプレーを復活させて6ヵ月後には完成だ」と思ったものだ。

でも上手くいかず、ゴミ同然だった。我々はただDarwiniaの中にマルチプレーを放り込んで、オブジェクティブを付け足しただけだったんだが、全然機能しなかったんだ。時間通りには出せなかったし、問題点を解決する必要があった。

そこで、複数のマルチプレー用マップをちゃんとしたデザインで作り上げた。するとマルチプレー用に多くのコンテンツが出来上がったので、Darwiniaの完全な続編MultiwiniaとしてPCと360で発売して、オリジナルをダウンロード・コンテンツにしようと考えたんだ。

でもMicrosoftは「いや、それは望んでいない。Darwiniaのためにサインしたんだ」と言って来たので、我々はMultiwiniaをPCで大々的に発売して、その後でDarwinia+を360で出す事にしたんだ。

でも実際にはそういうわけには行かなかった。Multiwiniaは良く売れたが、我々が期待していたほど興味を持ってもらえなかったんだ。ここIntroversionでは、ユーザーが我々のゲームの興味を持ってくれる事に慣れてしまって、それが続くと考えてしまっていたんだ。Multiwiniaでは何故かそうは行かなかった。見た目がDarwiniaに似ていたし、続編だという事が分かってもらえなかったからじゃないかと思っている。アドオンとして発表すべきだったんだ。

そういう事で上手く行かなかったし、ちょうど同じ時にWorld of Gooが出て、Multiwiniaは2番手3番手に追いやられてしまったよ。

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▼ Microsoftが定期的に修正を求めてくる事に、ストレスを感じましたか?

Mark Morris: 非常にストレスを感じたよ。我々が何をしても、十分ではないという反応が必ず返ってきた。全てだよ。メニュー・システムも我々は満足していたのに、「これではHDクオリティではない、これではXbox 360らしくない、これでは新鮮味がない、これでは充分ではない」という感じだった。4度か5度メニューを作り直したよ。とにかくシンプルなものにね。

ゲームの見た目がMicrosoftにとってどれだけ重要なのかという事を、我々は理解していなかったんだ。我々はゲームそのものだけが重要だと考えていたが、Microsoftは違った見方をしていた。Darwiniaの、彼らの言葉を借りれば「魅力と個性」を求めていたんだ。イントロ・シークエンスやブート画面など、PC版のものをXbox 360に移植したが、全てアップデートされていて、HD化してよりセクシーになっているんだ。

クリエイティブ面で言えば、もうDarwiniaには飽き飽きしているよ。長く関わってきたからね。ビジネス面でも、6ヶ月で移植するはずだったものがもう2年目に入っているから、もうウンザリなんだ。

だが同時に、Microsoftは常に自らの主張を明確な証拠と事実で裏付けてきた。彼らは信頼が置けるんだ。Darwinia+をプレーしたユーザーが感じた問題点を、200ページにも渡ってまとめたリポートまで作成してくれたんだ。それを無視して「操作性に問題はないよ」なんて言えないからね。何らかの反応を見せる必要があった。

DarwiniaとMultiwiniaは全く違ったタイプのゲームだから、この2作品の操作性を上手く調和させるのは非常に困難だった。でも結果的には実現できたし、非常に胸を張れる仕上がりになった。だからマニュアルの最後に、「本作品がDarwiniaのベスト・バージョン、すなわちディレクターズ・カットである」と書いたんだ。

▼ RTSがゲーム機に普及し出したのはここ数年の事ですが、Command & Conquerといった作品から操作性の面で影響を受けましたか?

Mark Morris: 正直に言えば、影響は殆どないんだ。実験を重ねて絞り込んでいくという、我々の基本原則から生まれたものだ。非常に困難で、常に問題を抱えていた。Darwiniaでは、どうしても解決出来ない問題があったんだ。もし違う風にしていたら、またそれ相応の問題が生まれていただろう。

そこで、上手く中間を取る事にした。照準が浮いているのは、PC版では右クリックでカーソルの位置にグレネードを投げる事が出来るから、それを再現したかったんだ。

Multiwiniaでは操作性が微妙に違うから、非常に長い時間を要したよ。最初は操作性が全く異なったものになっていたから、Darwiniaのチュートリアルで学んだ事がMultiwiniaでは通用せず、プレーヤーを非常に混乱させてしまう羽目になった。今はもうそんな事はないよ。

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▼ Darwinia+はXBLA独占ですが、PSNでの配信がない理由はなんですか?

Mark Morris: 小規模なデベロッパーは、目の前のオファーに付いて行くしかないんだ。小規模なデベロッパーがリスクを恐れずに済むようになるから、360でもPSNでもコンテンツを配信出来る世界が理想だね。

▼ 小規模のデベロッパーにとって、PSNの方が向いているんでしょうか?

Mark Morris: Sonyの場合は、また違ったチャレンジが存在すると思う。Microsoftの場合は、まず最初に承認を受けて、自分の言った事を守れば配信されるが、Sonyの場合はそうはいかないんだ。Sonyが配信に青信号を出すのはだいぶ後になってからで、そこまでに多くの投資が必要になる。多くの時間と労力を投資する事になると、向こうに「もういらない」と言われたくないがために、交渉において弱い立場に置かれる事になってしまうんだ。

勿論、Microsoftも仕上がりにハッピーでなければ「修正してくれ」と言ってくるだろうけどね。

▼ Introversionにとって、どれくらいDarwinia+が成功して欲しいと願っていますか?財政的な負担は?

Mark Morris: 我々にとっての成功とは、全てのプロジェクトと密接に関わってくるよ。ゲーム開発を連続させる事が出来ていないからね。つまり、我々の開発資金は全て、前作の売り上げと過去作の売り上げから捻出されるという事だ。Valveにもかなり助けてもらっているよ。

Darwinia+にも、達成しなければならない最低限の売り上げというのがある。達成出来なければ、存続させるだけの資金が足りなくなる。単純な事だよ。過去作から来年度にどれくらい収入があるかは分かっているから、最低限の売り上げを何とか達成する必要があるんだ。

▼ では、ファンが更なる作品を期待するなら、本作を買わなければ駄目だと?

Mark Morris: 基本的にはそうだね。それがメッセージだ。それ以外の謎の収入源なんて我々にはないし、貯蓄もないんだ。

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▼ つまりIntroversionも、全てのプレッシャーから解放してくれるようなビッグ・ヒットを求めているという事ですか?

Mark Morris: 本作の開発に4年ほど費やしたが、それはとにかく長いし開発費も高額になるんだ。「我々にはヒット作がない」なんて私が言うのは、少し誠実さに欠けると思う。4本のヒットがあると思っている。順調だよ。どういう事かというと、我々が始めた時には年齢も若く経験も不足していたので、これほど時間がかかるとは思っていなかったんだ。今なら違ったアプローチをしただろう。

Darwinia+の大ヒットは必要ないんだ。Space Giraffeの売り上げを知っているけど、それほど多くない。Space Giraffe程度に売れてくれればオーケーだから、そのレベルに達してくれる事を願っているよ。でも同時に、今日ここまで来るのに、我々がIntroversionを始めた理由であるベントレーに乗ってきてないんだ!勿論、自分たちのゲームには大ヒットして欲しいよ。でもDarwiniaに関して言えば、これは批評家から一番評価が高かったゲームだし、360ユーザーにもPCゲーマーと同じくらい楽しんで欲しいんだ。

▼ Introversionの次回作は?

Mark Morris: Subversionというゲームに取り掛かっている。まだ詳細は発表していないんだ。クリエイティブ面で試行錯誤しているところだ。ゲームを作る時は、必要なだけ時間をかけて、その作品の全貌を知る必要があると思っている。Defconの時のように、朝起きたら頭の中でゲームが完成している、なんて事は稀だからね。大抵はゲームのアイディアがあって、それがどうまとまっていくのかを見ていく事になる。

Subversionは街生成からスタートしたんだ。今は自動的に街を生成出来るようになっていて、我々のウェブサイト見てもらえれば全て載っているよ。10キロ平方の街を生成して、その街に存在する全てのビルの中に自動的に部屋を生成していく。そうして自動的に生成された街の中で、ミッションを行っていくというのがアイディアだ。

Uplinkと良く似ているけど、全てがバーチャル世界で行われる。Uplinkのバーチャル世界を、Subversionの物理的な世界に持ち込むんだ。我々がやろうとしているのは正にそういう事で、今はどういった作品になるのかを見極めようとしている。それが我々の次回作だよ。

[ソース: CVG]