2010年05月04日(火)00時52分

Alan Wake インタビュー

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発売が間近に迫ったAlan Wakeに関し、Remedyの作家Mikko Rautalahti氏と開発ディレクターMarkus Maki氏にIGNがインタビュー。開発秘話を聞いています。

▼ Alan Wakeのアイディアを最初に思いついた時、そのプロジェクトのスケールの大きさや、開発に掛かる期間がどのくらいになるか、その時点で気付いていたんですか?開発が進むにつれ、どのようにして開発の規模は変化していったんでしょうか?

Mikko Rautalahti: 「ここまで長く掛かる事はプラン済みだったのか」という事かい?そうでもないかな。当初は2010年に発売がずれ込むとは想定していなかったけど、スケールや焦点が進化していくにつれ、タイムテーブルも変化していった。でも、それほど劇的な変化というわけではなかったんだ。我々の開発チームのサイズのせいで、長く掛かるのはいつもの事だからね。昨今のほかの開発チームのように、三桁の人数を揃えているわけじゃないんだ。その半分にも満たないよ。特に最初は非常に少人数だった。当時はまだテクノロジーを作り上げる事に集中していたからね。

プロジェクトが先に進むにつれ、チームも拡大していった。外注や契約社員も多く使ったよ。特定の仕事を頼んだんだ。でも、核となるチームは常に少人数だった。緊密な関係と言えるかな。我々は工場じゃないと良く言っているんだ。少し大袈裟に聞こえるかもしれないいけど、それが我々が仕事をする上での原則なんだ。誰かが我々の事を「デベロッパーのブティック」と表現しているのをインターネットで見たよ。ちょっと派手な表現だけど、ピッタリだと思うよ。

▼ 新たなテクノロジーを築き上げる上で、一番のモチベーションは何だったんですか?物語なのか、ゲームプレー・メカニックなのか、舞台設定なのか。

Markus Maki: Alan Wakeに使用されたテクノロジーに取り掛かった頃は、修正すべき明確な問題点が2つあった。

まず、Max Payneはゲーム機にも移植されたけど、上手く移植する作業はとても難しかったんだ。Max Payne用のテクノロジーはPCを念頭に置いたもので、ゲーム機の事は考慮していなかったからね。Rockstarのチームが多大な努力をしてくれたお陰で、ゲーム機版をリリースする事が出来た。Alan Wakeのテクノロジーは、当初から今世代のゲーム機を念頭に置いて開発されているんだ。タイトなメモリー管理やストリーミング、マルチスレッドなどがエンジンのデザイン哲学の核となっている。

2つ目の問題は、Alan Wakeのようなゲームに求められるコンテンツの量と、チームのサイズだ。Max Payneの時のやり方は、今のチームには適していない事が分かった。アーティストが数週間かけて作り上げた部屋を、プレーヤーは2秒で通り過ぎてしまう。そうしたやり方をしていると、我々のリソースでは十分なコンテンツをゲーマーに提供出来ないんだ。現実世界の環境を保ちたいという事は分かっていたけど、より順序だっていながら、アーティストがコントロール出来るものが必要だった。1年の開発期間を経て、Alan Wakeで使用されたバイオタイプ・システムが完成した。これにより、アーティストたちが広大かつバラエティ豊富で、ディテールに富んだ風景を作り出す事が可能になったんだ。北西部という舞台設定と、それを構築するためのテクノロジーは、同時に作り上げられたものだ。

ゲーム・メカニックが固まってきて「光と共に戦う」という点が焦点になってくると、テクノロジーもその方向に進んでいった。プロジェクトを通してライティング・システムには手が加えられ、常に改善を施したり、様々なライティングを追加していったんだ。

『暗い森に何かが潜んでいるというアイディアには、どこか人々を惹き付ける原始的な魅力がある』

▼ Bright Fallsという架空の街を作る際、どんな場所で写真撮影やビデオ撮影などのリサーチを行ったんですか?ゲームの感覚やトーンにマッチさせるため、どんな地形を盛り込みたいと考えていましたか?

Mikko Rautalahti: まず何よりも、Alan Wakeには真実味を持たせたかった。完全に現実的に見えなければいけないという意味ではなくて、単なる木々が生い茂る土地ではなく、実際のワシントンにいるという感覚を生み出したかったんだ。そういう意味では、ゲーム世界をどんな場所にすべきかを考え出すのは難しくなかった。雛形は明確だったからね。現実に目の前に存在したんだ。

ある意味、ファンタジーの世界を作るよりも簡単であると同時に、難しかった。デザインは自然の中に既に存在し、外に出れば目にする事が可能だ。でも一方で、実在の場所だからハードルが高いんだ。失敗が目立ってしまう。とても上手く行ったと思っているけど、かなり大変だったんだ。数多くのロケーションを訪れて無数の写真を撮り、何百時間にも及ぶビデオも撮影した。夜にはオーディオの録音も行ったよ。そうした素材が、我々のゲーム世界のベースになっているんだ。プレーヤーがゲーム内で目にするものは、開発チームがリサーチ中に実際にどこかで似たようなものを見ていると思ってもらって良いだろうね。特に力を入れた部分をピックアップするとしたら、恐らく森だろうね。うっそうとした森で、暗い森に何かが潜んでいるというアイディアには、どこか人々を惹き付ける原始的な魅力があるんだ。

参考にした素材の殆どが写真だったから、Alan Wakeではコンセプト・アートを殆ど作らなかったんだ。ダムやカルドロン湖など、実物をそのまま再現したロケーションも幾つか存在するよ。

Bright Fallsに関してだけど、ある時点ではもっと広大な土地だったんだ。例えば、建物の幾つかはもっと高かったりね。でも小さな街という感覚を強調したかったから、それをデザインにも反映させる事になった。人々の生活の匂いがする、本物らしい土地にしたかったんだ。実際には存在しない架空の街ではあるが、ワシントンのどこかに存在するんじゃないかと思わせるような場所を作りたかった。

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▼ 巨大なチーム無しに新たなテクノロジーを作る事の難しさには、どんなものがあるんでしょうか?最も複雑だったのはどんなところですか?

Markus Maki: 最も難しかったのは、ゲーム・コンセプトが進化するのと同時に、ツールとテクノロジーを開発した事だった。どんなゲームを作っているのかが分かっていれば、それに合ったテクノロジーを作るのは簡単なんだ。色々な実験やプランの変更には時間がかかる。でもそれ以外は、テクノロジーの開発は驚くほどスムーズに行ったよ。我々のチームは小規模だけど、経験豊富だからね。テストしたところ、我々のゲームは今までで最も安定したゲームの一つで、最近のMicrosoft Games Studioの作品の中でもバグの数が最低レベルだったそうだよ。

▼ PC版が不可能だという事が明確になったのは、開発のいつ頃なんでしょうか?その理由は?

Mikko Rautalahti: 正直言って、正確にいつその決定が下されたのかは覚えていないんだ。簡単な決定ではなかったし、最終的には我々のリソースが理由だった。とても小さなチームだからね。Alan Wakeを可能な限り最高のゲームに仕上げなければならなかった。そういう事なんだ。楽しい決断ではなかったけど、必要なものだった。

▼ テクノロジーも完成したわけですが、これで発売後に新エピソードをリリースするのがかなり簡略化されるという事になるんでしょうか?

Mikko Rautalahti: これまでの経緯を見ると、Remedyは常にそういうやり方だった。Max Payneは開発に時間がかかったけど、Max Payne 2は比較的早く完成する事が出来た。テクノロジーやツールが既に出来上がっていたからね。

Alan Wakeではダウンロード・コンテンツをリリースするし、もう製品版は完成しているから、今はそのコンテンツに取り掛かっているところだよ。かなり早く仕上がって来ている。テクノロジーが既に完成している事もそうだけど、それ以上に、皆が慣れた事も理由の一つだ。今は全員が自分の仕事をしっかり把握している。ツールも熟知しているし、どんなゲームを作っているのか、直感的に理解しているんだ。Alan Wakeがどういうゲームなのかも分かっているし、どんなゲームプレーが最高の瞬間を生み出すのかも分かっているからね。現在はそうした部分に全てのエネルギーを注げる。基本的な事を理解するのに四苦八苦せずに済むんだ。

全員がとても熱心だという事も大きかった。Alan Wakeの最後の仕上げをしてから少し中断した時期があって、お陰で皆リラックスする事が出来たけど、今は再び仕事に戻って頑張って新しいものを作らないとね。振り出しに戻って新しいクールなものを考え出さないといけないんだ。それが違いを生む。我々はAlan Wakeを磨き上げるのに本当に多大な時間を費やしたけど、それは基本的にひたすら同じ事を何度も何度もやるという事だ。重要な仕事だけど、半年もそれを続けると、本当の仕事のようになってきてしまう。プロジェクトの最初にもっとクリエイティブな重作業をする必要があって、少なくとも私にとっては、それが一番楽しい部分なんだ。

[ソース: IGN]