今回の記事では、「左手デバイスのおすすめが知りたい」「左手デバイスの選び方が知りたい」「左手デバイスってどういうものなのか」という方へ向けて、以下のポイントを重点的に解説します。
また、イラスト制作などに向けたクリエイター向けおすすめPCを探している方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
左手デバイスとは
左手(片手)デバイスとは、一般的なキーボードで行える操作をより効率的にするためのデバイスです。
ゲームやイラスト制作などによく使用するキーだけを配置しているので、直感的に操作しやすく作業効率が上がり、長時間の操作で疲れにくいメリットがあります。
また、片手で操作できるように作られている以上、コンパクトなのでデスクのスペースを取りません。イラスト用タブレットを使用するイラストレーターの方には特に大きなメリットと言えます。
イラスト制作におすすめの左手デバイス
ここでは、各アプリケーション別におすすめの左手デバイスを紹介します。
作業環境によっても若干扱いやすさは変わるので、自身の求める環境に合わせて選んでみてください。
左手デバイスの他にイラスト制作に必要となるものは、「デジタルイラストに必要なものを解説」の記事で詳しく解説しています。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)におすすめの左手デバイス
「CLIP STUDIO PAINT」は、イラスト自体を作成できる基本的なことは全部こなせるアプリケーションです。
作業内容的にキャンパスの回転や、3Dモデルの操作などにホイールやスティックなどがあるとかなり利便性がアップします。
また、CLIP STADIO向けのPCを探している方は「クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)に必要なパソコンのスペック」記事を参考にしてみてください。
CLIP STUDIO TABMATE
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | Bluetooth |
形状 | ジョイスティック |
対応ソフトウェア | CLIP STUDIO PAINT など |
「CLIP STUDIO PAINT」の開発元が制作している専用の左手デバイスです。「CLIP STUDIO PAINT」で左手デバイスを使うなら定番と言えるでしょう。
各ボタンは全てカスタマイズ可能なので、よく使うアンドゥ(取り消し)スポイトなどを割り振れます。もちろんスタンダードな設定のプリセットもあります。
ホイールも付いているのでわざわざマウスなどでスクロールする手間もありません。
Bluetooth接続なのでコードも邪魔にならず、本体も単3乾電池一本分と合わせても相当軽いので負担が少ないです。
レシーバーは別売りとなるので、そこだけは注意しましょう。
TourBOX NEO
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | Bluetooth・有線 |
形状 | コントローラー |
対応ソフトウェア | ほぼ全て |
動画編集からイラスト制作までなんでも快適にこなせる左手デバイスの王道です。
3種類のダイヤルが搭載されており、それぞれキャンパスの拡大縮小や回転、レイヤー選択などに割り当てることが可能で、手元を見ずに操作可能な作りなので直感的にサクサクと作業が行なえます。
動画編集の操作にもこれらのダイヤルに操作を割り当てることが可能で、シーン選択や画像の選定など幅広いシーンで活躍します。
また、対応アプリも豊富かつ操作アプリ別に設定のプリセットを登録することもできるので、このデバイス一つで万能にクリエイティブな作業が可能です。
Joy-Con
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | Bluetooth |
形状 | ジョイスティック |
対応ソフトウェア | Joy To Keyなどを使用して対応 |
イラストアプリに完全対応しているわけではないですが、「Nintendo Switch」のコントローラーも外部ツールの「Joy To Key」などを使用することで左手デバイスに使用することが可能です。
Joy To Keyは簡単に説明すると、「デバイスの操作をキーボードやマウス操作に変換するツール」です。
これを使用することにより、Joy-conのスティックを左右に倒すとキャンパスを回転したり、上下に倒すとレイヤーの選択をするなどの操作が可能になります。
もともとNintendo Switchを持っていて流用したり、なるべく安く済ますためにJoy-conを片方だけ購入するのがおすすめです。
Photoshopにおすすめの左手デバイス
「Adobe Creative Cloud」は、「Photoshop+Lightroom」がセットになっており、主に完成したイラストやカメラで撮影した画像などの編集や、仕上げ作業に使用するアプリです。
「Lightroom」というサービスは、クラウド(ネット上の記憶領域)でデータを異なるデバイスで共有できるため、出先でiPadを使用してイラストや画像編集をするのに便利な機能です。
こちらのアプリもホイールやダイヤルなどの機能が左手デバイスに搭載されていると、レイヤーや画像選択がスムーズになります。
XPPen AC19 Shortcut Remote
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | 無線接続 |
形状 | テンキー |
対応ソフトウェア | ほぼ全て |
コンパクトで格安かつ、ダイヤル機能などを搭載した人気モデルです。
テンキーキーボードにダイヤルが追加された形状なので扱いやすく、滑り止めが裏面に付いているので液タブの上に乗せて斜めにしてもずり落ちないため、自分の好きな位置に左手デバイスを置くことが出来ます。
また、左右対称なので左利きの方にもおすすめできます。左手デバイスをなるべく安く導入したい方は、迷ったらこのモデルから始めてみるのが良いでしょう。
Orbital2
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | 有線 |
形状 | スティック型コントローラー |
対応ソフトウェア | ほぼ全て |
コントローラーのスティック部分だけを抜き出したような形状ですが、見た目に反して細かな操作が可能な左手デバイスです。
まずスティックを8方向の任意の方向に倒してから、ダイヤル操作の種類を切り替える設計となっているので、ダイヤル操作の豊富さにおいてはこの「Orbital2」が一番でしょう。
スティック周辺にも各ショートカットをカスタマイズ登録可能なボタンが8つあり、ここでも機能の切り替えやマクロ操作などを割り振れるので、まさに左手だけで操作できないものはないと言える多機能なデバイスです。
手の負担にならないような大きさでもあるので、長時間の作業にも優れています。価格は高いですが、それ相応にしっかりとした作業環境を構築できるので、プロ向けの左手デバイスを求めている方におすすめです。
Logicool CRAFT KX1000s
対応OS | Windows/mac |
接続方式 | Bluetooth/USB有線 |
形状 | キーボード/コントローラー |
対応ソフトウェア | ほぼ全て |
左手デバイスではないですが、キーボードにダイヤルを搭載したLogicoolのクリエイター向けモデルです。
搭載されているダイヤルは、Photoshopでの彩度調整やレイヤー選択などに割り振ることが可能なので、ぱっとダイヤルで調整できるボタンが一つだけほしい方におすすめです。
あくまでもおまけでダイヤルが付属しているだけなので、複数の操作を一つのダイヤルで切り替えながら使用するといったことはできないため注意しましょう。
iPadにおすすめの左手デバイス
iPadでもイラスト制作は液タブ感覚で可能です。
出先や寝転がりながら手軽にイラストが描けるのはiPadの大きなメリットで、専用の左手デバイスも追加することで更に快適になります。
iClever テンキー IC-KP08
接続方式 | Bluetooth/USB有線 |
形状 | テンキー |
対応ソフトウェア | iPad版CLIP STUDIO PAINT |
iPadで「CLIP STUDIO PAINT」を使用するなら一番におすすめできる左手デバイスです。
iPad版のクリスタに対応しており、キー数が豊富なので大体のショートカットはこのデバイスに割り振ることが可能です。
価格も約2,000円と安く、PCのテンキーとしても使えるため、とりあえずこのテンキーデバイスを一つ持っておいて損はしないでしょう。
8Bitdo Zero2
8Bitdo Zero2
接続方式 | Bluetooth |
形状 | コントローラー |
対応ソフトウェア | iPad版CLIP STUDIO PAINT |
ゲームコントローラーですが、iPad版「CLIP STUDIO PAINT」でも動作確認がとれているデバイスです。
搭載されているボタン全てにショートカットを割り振ることが可能ということ以外は、至って普通の片手デバイスと変わりありません。
ただし、サイズがJoy-conよりはるかに小さいため、成人男性が扱うには片手でも小さすぎる場合があるでしょう。女性の方におすすめの左手デバイスと言えます。
YESWORD X-18
接続方式 | Bluetooth |
形状 | テンキー |
対応ソフトウェア | Procreate |
「Procreate」は「CLIP STUDIO PAINT」などと同じイラスト制作ツールですが、対応デバイスが少ないのでこちらの「Procreate」専用片手デバイスを購入することをおすすめします。
「Procreate」専用に作られていることもあって、各キーに予めわかりやすいショートカットが記載されており、余計な設定などはせずに接続してすぐに左手デバイスを使うことが出来ます。
また、裏面に滑り止めが貼られているので、iPadに乗せて使うといったことも可能で、省スペース性にも優れます。
ProCreate向け 左手デバイス(A3)
接続方式 | Bluetooth |
形状 | テンキー |
対応ソフトウェア | iPad版CLIP STUDIO PAINT |
iPadアプリの「ProCreate」を使う人にはぜひ手にとって欲しい左手デバイスです。
アプリを利用する上で使用頻度が高い操作をショートカットとして割り当てられることに加え、スマートなデザインが特徴です。
自宅での作業はもちろん、外出先での作業も捗ること間違いなしです。
人間工学を視野に入れたデザインで疲れ知らずのデバイスといえるでしょう
イラスト制作向け左手デバイスの選び方
イラスト制作に向いた左手デバイスは、個人差があると言えばそれまでなのですが、一般的に人気のある左手デバイスは存在します。
それは価格面であったり、機能性や形状で良い評判のモデルが多いので、多くの人が選ぶ理由となる左手デバイスのポイントを以下の項目に分けて紹介します。
- 対応OS・ソフトウェアで選ぶ
- 登録できるショートカット数で選ぶ
- 有線接続・無線接続から選ぶ
- 入力形式や形状で選ぶ
対応OS・ソフトウェアで選ぶ
PCで使用する場合は、Windows・macそれぞれに対応しているかを確認するのが最も重要です。
iPadで使用する場合は、Bluetoothでちゃんと接続されるかの確認もしましょう。
「Photoshop」「Illustrator」「CLIP STUDIO PAINT」などの有名なアプリであれば、大体の左手デバイスを使用できます。ただしiPad版のアプリでは動作しない左手デバイスが多いので、動作確認の項目をよく確認しましょう。
一番安心できるのはイラストアプリの会社が販売してる「CLIP STUDIO TABMATE(CLIP STUDIO PAINT用)」「YESWORD X-18(Procreate用)」などです。
登録できるショートカット数で選ぶ
これは自身がよく使うショートカットの数を数えておいてから選びましょう。
てのひら・戻る・進む・ブラシ、などの他にもよく使うキーは多いですが、筆者が思うにテンキーデバイス(9個以上)くらいの数があれば充分だと思います。
また、理想としてはダイヤルもあるとかなり効率が変わるので、ダイヤル付きで9個くらいボタンがあるとベストです。
有線接続・無線接続から選ぶ
有線と無線かの違いも使用環境が変わることもあるので重要なポイントです。
有線接続のメリット・デメリット
有線接続での大きなメリットは充電が不要で、確実に接続できるところです。
無線接続の場合は、接続設定が周りの電波状況が悪いと上手くいかなかったりと、思わぬトラブルに合う可能性があるので、有線は接続しやすいという点でも大きなメリットがあります。
唯一の欠点はケーブルが邪魔になるところです。タブレットに載せて使いたい場合や、コード類が増えると困る方にはおすすめできません。
無線接続のメリット・デメリット
コードが無い事が一番大きなメリットで、自分の自由なスタイルで左手デバイスを使うことが可能です。
PCとタブレット両方に切り替えて使用できるモデルもあり、画面に載せて使いやすく持ち運びもしやすいのでiPadでイラストを描く方に最も多く採用されています。
一方、充電が切れるというデメリットがあるので、制作中に充電切れして作業が中断してしまう危険性がありますが、その場合は一時的に有線でつなぐか、電池を交換することですぐに使用できるのであまり大きなデメリットではありません。
入力形式や形状で選ぶ
価格 | 操作性 | 設定のしやすさ | 種類の豊富さ | |
---|---|---|---|---|
キーボード/テンキー | (5.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) | (5.0 / 5.0) | (5.0 / 5.0) |
ジョイスティック | (3.0 / 5.0) | (5.0 / 5.0) | (2.0 / 5.0) | (3.5 / 5.0) |
コントローラー | (2.0 / 5.0) | (5.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) | (3.0 / 5.0) |
左手デバイスの形状ごとに、特徴を表にまとめました。
このように、左手デバイスの入力形式や操作性によって向き不向きが存在します。
自身が求めるコスパや操作性・形状などで以降紹介するポイントも参考に左手デバイスを選ぶ基準にしてみてください。
キーボード/テンキー
最も汎用的なタイプで、ゲームにも仕事にも使いやすいモデルが多いことが特徴です。
モデルも片手デバイスの中では一番多く、安いモデルは電卓のような簡素な作りで1,000円くらいで購入できるものもあります。
本記事の中で紹介している「XPPen AC19 Shortcut Remote」は、一般的なテンキー形状でありながらダイヤルも装備していて格安なので、非常にコスパが良いです。
ジョイスティック
ジョイスティック型の一番のメリットは「デバイスを持ってる手を楽にできる」ところです。
キーボードタイプなどと違って、左手を膝上に置いた状態などにすることで腕を前に出さなくて済むため、人によっては肩こり予防にもなります。
唯一の欠点としてはボタン数が少なくなりがちなので、多くのショートカットを使用したい方にはあまり向きません。
コントローラー
キー数が程よく多く、ダイヤルの種類も豊富なモデルが多いのがコントローラータイプの特徴です。
特に「TourBOX NEO」は3種類のダイヤルを搭載しており、キー数も14個あるので非常にバランスのいいコントローラーで人気があります。
「Orbital2」はジョイスティックが一つで、トップを回すことでダイヤル操作が可能ですが、8方向にスティックを倒して切替可能なので、実質ダイヤルが8個あるのと一緒で豊富な操作が可能です。
ダイヤルが活躍する操作は「レイヤー切り替え」「拡大縮小」「キャンパスの回転」「明度や彩度の調整」など、数多くあるので、ダイヤルが多いと作業効率が更に上がります。
左手デバイスに割り当てると便利なショートカット
操作 | 操作キー |
---|---|
ペン・ブラシ変更 | B/P |
ブラシサイズ変更 | [/] |
消しゴム | E |
スポイト | Alt |
選択 | M |
バケツ | B/G |
拡大・縮小 | Ctrl++/Ctrl+– |
回転 | Shit+スペース+ドラッグ |
キャンバス移動 | スペース+ドラッグ |
もとに戻す | Ctrl+Z |
やり直す | Ctrl+Shit+Z |
変形 | Ctrl+T |
保存 | Ctrl+S |
「CLIP STUDIO PAINT」を例によく使うショートカットキーを表にまとめてみました。
これらのよく使うキーの中には「Ctrl+T」など、片手では非常に操作しにくい物が多く含まれています。
そんな時に活躍するのが片手デバイスというわけです。イラスト制作が初めての方は、このショートカット表を参考に、キー数が足りている片手デバイスを選んでみてください。
左手デバイスに関するよくある質問
ここでは、左手デバイス全般に関するよくある質問とその解答を解説いたします。
- 左手デバイスはどの形状のものが良いのですか?
-
価格 操作性 設定のしやすさ 種類の豊富さ キーボード/テンキー (5.0 / 5.0)(3.0 / 5.0)(5.0 / 5.0)(5.0 / 5.0)ジョイスティック (3.0 / 5.0)(5.0 / 5.0)(2.0 / 5.0)(3.5 / 5.0)コントローラー (2.0 / 5.0)(5.0 / 5.0)(3.0 / 5.0)(3.0 / 5.0)「入力形式や形状で選ぶ」でも解説した通り、左手デバイスの形状によって操作性や設定の難易度が異なります。
普段キーボードでの入力に慣れている方は「キーボード/テンキー」タイプが向いていますが、より直感的な操作をしたい方は「ジョイスティック」「コントローラー」タイプが良いでしょう。
- 左手デバイスはMacOSでも使えますか?
-
左手デバイスの種類ごとに異なります。
「イラスト制作におすすめの左手デバイス」では、対応OSもあわせて紹介しているため参考にしてください。
- 左手デバイスと片手デバイスの違いはなんですか?
-
どちらもショートカットを片手で操作するためのデバイスですので、意味は同じです。
特に、ジョイスティックタイプやコントローラータイプのものを指して「片手デバイス」と呼ばれる場合があります。
- 左手デバイスにはどのようなショートカットを登録すると良いですか?
-
自分がよく使うショートカットを登録すると良いでしょう。
「左手デバイスに割り当てると便利なショートカット」では、イラスト制作でよく使われるショートカットを紹介していますので参考にしてください。
- 左手デバイスにはどのようにすればショートカットを登録できますか?
-
左手デバイスによっては、専用のソフトウェアでショートカットを登録できます。
「Joy Con」など、本来左手デバイスではないものにショートカットを割り当てる際は、「JoyToKey」などのソフトウェアを使いましょう。
イラスト制作におすすめの左手デバイスまとめ
- 片手デバイスは「TourBOX NEO」のようなダイヤルがあるとかなり作業効率が上がる
- キーボードに比べてコンパクトでデスクのスペースを取らず、持ち運びやすい
- 液タブなどに載せて使う場合は、「XPPen AC19 Shortcut Remote」などが滑り止め付きの無線モデルなのでおすすめ
- ジョイスティック型は持っている手が楽
今回は左手デバイスの選び方と、おすすめモデルについて解説しました。
人によって環境は様々なので、向いている片手デバイスは異なってきます。そのため様々な片手デバイスが多く迷いがちです。
選び方に迷っている方は、本記事を参考に自身の環境にあった片手デバイスを選んでみてください。