今回はゲーム特化CPUとして『Escape from Tarkov』などに最適と噂の「Ryzen 7 5800X3D」について詳しく解説します。
既存モデルの「Ryzen 7 5800X」とどうちがうのか?ハイエンドCPUと遜色ないfpsが出せる理由など、以下の項目で気になっている方はぜひご覧ください!
こちらの記事にて、当サイトが厳選したおすすめゲーミングPCを紹介しています。ぜひチェックしてください。
「Ryzen 7 5800X3D」を搭載しているBTOショップは数少ないので、気になった方は早めに購入しましょう。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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AG-AR8X57AGL6I-CM | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4060 Ti | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55AGA7-FMA | Ryzen 7 5800X3D | RTX 3070 | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55MGL7I-AP2 | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4070 Ti | 16GB | 1TB SSD |
Ryzen 7 5800X3Dの性能・特徴
世代 | 第4世代 |
アーキテクチャ | Zen3 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
定格クロック周波数 | 3.4GHz |
最大クロック周波数 | 4.5GHz |
ソケット形状 | AM4 |
TDP | 105W |
二次キャッシュ | 4MB |
三次キャッシュ | 96MB |
内蔵グラフィックス | なし |
PassMark CPU Markスコア | 28031 |
一番目を引くのは末尾にある見慣れない表記「3D」です。
これは「Ryzen 7 5800X3D」で初めて付けられた表記で、「AMD 3D V-Cache Technology」を搭載しているという意味になります。
「AMD 3D V-Cache Technology」とは、簡単に説明すると「CPUを3層構造にしてキャッシュ容量を大幅に増やす技術」です。
キャッシュ容量が増えることにより、CPUが素早くアクセスできるデータに余裕ができると、主にGPUとのやりとりがスムーズになるため、ゲーム性能が大幅に向上します。
それ以外は既存の「Ryzen 7 5800X」と変わらない構造なので、計算処理に大きな変化は見られませんが、ゲームに関するグラボの処理は大きくスペックアップするので、今後発売されるAMD製CPUの新機軸となるモデルの第一弾と言えます。
AMD Ryzen標準のクーラーは使える?
「Ryzen 7 5800X3D」には、リテールクーラー(標準の付属クーラー)は付いていませんが、現在もリテールクーラーを使用していてそのまま流用して使いたいという方もいるかと思います。
結論から言うと「冷却性能が足りません」。
動作クロックが高く、TDP105W以上の高性能CPUのため、発熱量が高いところがデメリットになるので、相応のCPUクーラーが必要です。
また、冷却性能が足りないと高温時にはファンが最大で回り続けるので、音もうるさくなります。
そのため、「Ryzen 7 5800X3D」には静音性と冷却性能が優秀な水冷式CPUクーラーか、空冷式であればサイドフロー型の大型CPUクーラーがおすすめです。
高性能CPUの寿命と性能を引き出すためにも、水冷かサイドフロー型の空冷CPUファンとセット購入することをおすすめします。
Ryzen 7 5800X3Dのベンチマーク
ここでは、実際に「Ryzen 7 5800X3D」の性能をベンチマークを使用して数値化し、どのような用途に優れているのかを解説します。
Ryzen 7 5800X3DのCPU Markスコア
PassMarkは、重い計算処理や動画処理など、CPUを様々な用途で使用した場合の総合的なスコアを評価しています。
基本的にこの値が高いほどCPUの性能が総合的に高いと思っていいです。
同世代の「Ryzen 7 5800X」と比べると誤差レベルです。基本構造は変わらず、キャッシュ容量のみが増加しているだけでは計算速度は変わらないので、妥当な結果と言えます。
そのため、基本的な総合スコアの評価は「Ryzen 7 5800X」と変わらないと言って差し支えないでしょう。
「Ryzen 7 5800X3D」は特にゲーム性能で力を発揮するため、ゲーム用途を想定していない場合は3Dシリーズをわざわざ選ぶ必要性はありません。
Ryzen 7 5800X3DのCinebench R23(マルチコア)スコア
Cinebench(マルチコア)で計測するスコアの主な指標は「マルチコアの性能」です。
マルチコアとは、CPUの頭脳の数のことを指し、マルチコア処理能力とはそれぞれのコアの並列処理能力を指します。
このスコアが高いと、複数のアプリ動作などのマルチタスクに優れます。
マルチコア処理能力になるとコア数で勝るCPUが一気にスコアを伸ばすため、位置的にはミドルクラスのCPUと言えます。
ここでも「Ryzen 7 5800X3D」と「5800X」は変わらないスコアなので、マルチスコアもキャッシュ容量による影響はありません。
CPU単体でのベンチマークの結果は、いずれも「Ryzen 7 5800X」と変わらないことがわかります、「Ryzen 7 5800X3D」はグラボと合わせた場合のグラフィック処理能力の高さで本領を発揮します。
単純な処理能力の高さで選ぶなら、ハイブリッドコアを採用した「Intel Core i7 12700F」などのCPUがおすすめです。
Ryzen 7 5800X3DとライバルとなるCPUとの性能比較
ここでは、「Ryzen 7 5800X3D」とライバルとなるCPUを比較し、どのようなところが優れ、劣っているのかを解説します。
Ryzen 7 5800X3D vs Ryzen 7 5800X
世代 | 第4世代 |
アーキテクチャ | Zen3 |
ソケット形状 | AM4 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
定格クロック | 3.4GHz |
最大クロック | 4.5GHz |
キャッシュ容量 | L2:8MB L3:96MB |
TDP | 105W |
CPU Mark | 28031 |
Cinebench R23 | 15103 |
価格(2023年1月現在) | 約50,000円 |
世代 | 第4世代 |
アーキテクチャ | Zen3 |
ソケット形状 | AM4 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
定格クロック | 3.8GHz |
最大クロック | 4.7GHz |
キャッシュ容量 | L2:4MB L3:32MB |
TDP | 105W |
CPU Mark | 27844 |
Cinebench R23 | 15228 |
価格(2023年1月現在) | 約35,000円 |
動作周波数などに若干の変更が加えられていますが、キャッシュ容量以外の基本スペックとスコアは両モデルとも変わりありません。
しかし、グラフィックボードとのやりとりに大きな革命を起こした「AMD 3D V-Cache Technology」により、各ゲームでのfpsはAM4世代のハイエンドモデル「Ryzen 9 5900X」を上回ります。
なぜキャッシュ容量が増えるだけでこんなにfpsが変わるのか、厳密に正確な答えは開発者のみぞ知る部分なのでハッキリとは言えませんが、主な要因はGPUとのやり取りがスムーズになるためです。
CPU単体ではそこまでスコアが変わらないのに、グラボと絡めるとfpsに差が出るのはこのためで、特にオブジェクトの位置や動きを計算してグラボに受け渡すラインが円滑になるのは、キャッシュ容量が多いCPUの特徴です。
そのため、「AMD 3D V-Cache Technology」を採用した「Ryzen 7 5800X3D」は、ゲーム性能に特化したCPUと言えます。
逆に言うと、ゲームを主な用途としないのであれば「Ryzen 7 5800X3D」は「5800X」とスペックは変わらず、約1.5万円も価格が上がるので、コスパが悪くなってしまうため注意が必要です。
Ryzen 7 5800X3D vs Core i9-12900K
世代 | 第5世代 |
アーキテクチャ | Zen4 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
定格クロック | 3.4GHz |
最大クロック | 4.5GHz |
キャッシュ容量 | L2:8MB L3:96MB |
TDP | 105W |
CPU Mark | 28031 |
Cinebench R23 | 15103 |
価格(2023年1月現在) | 約50,000円 |
世代 | 第12世代 |
コア数/スレッド数 | 16コア(Pコア8+Eコア4) 24スレッド(Pコア16+Eコア8) |
動作周波数(Pコア) | 3.2GHz/5.2GHz |
動作周波数(Eコア) | 2.4GHz/3.9GHz |
二次キャッシュ | 14MB |
三次キャッシュ | 30MB |
TDP | 125W |
MTP | 241W |
CPU Mark | 41923 |
Cinebench R23 | 27796 |
価格(2023年1月現在) | 約73,000円 |
単純な処理速度は圧倒的に「Core i9-12900K」が勝っていますが、ゲームでのfpsは「Ryzen 7 5800X3D」の方が若干上回るほどのスコアを叩き出します。
これは先述したキャッシュ容量の差による部分が大きく、AMD製CPUがゲーム性能でIntelに劣るイメージを一掃する形となりました。
基本的にCPU単体のスペックが問われる用途は、ゲーム以外では動画編集などになるため、普段使いとゲームが主な用途であれば価格も安い「Ryzen 7 5800X3D」が最適です。
「Core i9-12900K」はその圧倒的な処理能力を活かして、動画のエンコードや動画配信などのクリエイターPCとしての運用が理想的と言えます。
Ryzen 7 5800X3Dが向いている用途
「Ryzen 7 5800X3D」は結局どのような用途に向いているのか簡単にまとめるとこうなります。
用途 | 解説 | 評価 |
インターネット(動画閲覧・ショッピング) | YOUTUBE等で動画を観ながらの、ショッピング | |
ビジネス(Officeソフト・Web会議など) | Officeソフトでの資料作りをしながらの、Web会議 | |
ゲーム | 3Dグラフィックを駆使した流行りのゲーム | |
動画・画像編集 | フルHD・4Kでの動画や画像編集 またはゲームの動画配信 | |
3D制作 | 3D CADやBlenderなどを使用した3Dモデリング |
上記を踏まえて結論を言うと「ゲームに特化したCPU」です。
相性の良いグラボの目安は「Ryzen 7 5800X3D」に対してボトルネックにならない「RTX 3070」あたりが理想的です。
特に『Escape from Tarkov』を始めとした重量級のゲームが快適に動くCPUを5万円台で用意でき、普段使いも不自由することがないスペックなので、ゲーム用CPUとして圧倒的なコスパを誇ります。
ミドルクラスながらハイエンドCPUと遜色ないゲーム性能を発揮する、ゲーム特化型ミドルクラスCPUと言えます。
Ryzen 7 5800X3Dシリーズ搭載おすすめPC
ここでは「Ryzen 7 5800X3D」シリーズを搭載したゲーミングPCを紹介します。
CPUのゲーム性能はハイエンドクラスなので、自身の求めるGPUのパワーと予算に合わせて選んでみてください。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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AG-AR8X57AGL6I-CM | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4060 Ti | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55AGA7-FMA | Ryzen 7 5800X3D | RTX 3070 | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55MGL7I-AP2 | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4070 Ti | 16GB | 1TB SSD |
PCショップアークでは、各GPU×Ryzen 7 5800X3D搭載PCが販売されています。
一番のおすすめは「RTX 4070 Ti」モデルです。『Escape from Tarkov』や『サイバーパンク2077』などの重量級ゲームを、最高画質60fps以上の環境で快適に遊びたいのであれば「RTX 4070 Ti」モデルを選びましょう。
一番スタンダードなスペックで良い、様々なゲームでフルHD高fpsが安定するコスパ重視PCが欲しい方は「RTX 4060Ti」がおすすめです。中量級ゲームやRPGなどのゲームでは4Kも狙えます。
「RTX 3060」モデルはフルHDでいろんなゲームがカクつかないで動作すれば良い、という方におすすめです。軽めのゲームであれば設定次第で240fpsも余裕で出せるスペックがあるので、決して低スペックと言うわけではありません。
基本構成はメモリ16GB・M.2 SSD 1TB搭載なので、カスタマイズなどでアップグレードする必要がありません。もし動画配信するのであれば、メモリを32GBに増設すると安心できるでしょう。
Ryzen 7 5800X3D比較まとめ
今回の記事では「Ryzen 7 5800X3D」の性能を解説し、同シリーズを搭載したおすすめPCを紹介しました。
以下おすすめモデルのおさらいと、まとめです。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
AG-AR8X57AGL6I-CM | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4060 Ti | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55AGA7-FMA | Ryzen 7 5800X3D | RTX 3070 | 32GB | 1TB SSD |
AG-AR8B55MGL7I-AP2 | Ryzen 7 5800X3D | RTX 4070 Ti | 16GB | 1TB SSD |
- AMDの新技術を搭載した第一弾CPU
- グラボとのスムーズな通信が可能なのでfpsが目に見えて向上
- RTX 3000シリーズとボトルネックが少ない
- CPU単体としての処理能力はミドルスペック
「Ryzen 7 5800X3D」の特徴は、「AMD 3D V-Cache Technology」によりグラボとの通信がスムーズになったため、あらゆるゲームで高水準のfpsを稼げるところです。
あくまでもグラボとのやりとりがスムーズになったゆえにfpsが向上しているCPUなので、そもそもCPU自体に高負荷がかかる状況(MMORPGなどでプレイヤーが密集している場所)ではfpsが伸びない場合があることは留意しておきましょう。
今後「AMD Ryzen 7000X3Dシリーズ」を発売することが決定しているため、CPUに負荷がかかるタイプのゲームでもfpsが低下しないCPUとして大いに期待できます。
CPUカテゴリでは、その他のRyzenCPUやIntelCPUの比較を行っているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。